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02/03/2021

No.0447 同一化合物の標準品がない場合でも未知微量成分のLC半定量が可能です

LC/UVやLC/MSにおける定量では、標準品が同一化合物でない場合、ターゲットとの感度差が大きく、これまで対応が困難だった。荷電化粒子検出器(CAD:Corona Aerosol Detector、ユニバーサル検出器)を用いることで、化合物の化学構造に依存しない応答性を有することから、ターゲットと同一化合物の標準品が入手困難な場合でも、有機微量成分(難揮発性成分)の半定量分析が可能になった。

荷電化粒子検出器の特徴
 ● HPLCカラム溶出物の噴霧・気化により、生成した粒子を検出
 ● あらゆる難揮発性成分(沸点350℃以上)を検出
 ● 化学構造に依存しない一貫した応答性(±30%)=標準品として同一化合物を用いなくても半定量可能
 ● 検出下限:測定溶液中 数ug/mL程度(数ng程度)=ELSDの約10倍 高感度

   ※溶出位置での移動相組成による感度差を補正して実施

同一の標準品がない有機成分の(半)定量方法例

含有量%以上(主成分)
・ 内標添加1H NMR(ピーク識別ができた場合)
・ 溶媒分画ー重量法 など
含有量%未満(微量成分)
・ GC/FID(揮発性成分)※熱に不安定な化合物除く
LC/CAD(難揮発性成分)

異なる標準品を用いたLC/CADによる分子量分布を有する成分の半定量分析(LC/MSとの比較)

2種類のポリエチレングリコール(PEG)の検量線をLC/MS、LC/CADでそれぞれ作成 → 鎖長の異なるPEGの半定量値を算出、真値とのずれを評価
   [LC/MS半定量結果(真値を100%)]            [LC/CAD半定量結果(真値を100%)]   
       ↑イオン化効率が分析対象と標準品で異なる
LC/MSでは、標準品が異なると定量値のずれが大きいが、LC/CADでは標準品が異なっても半定量可能

    標準品           試料A            試料B
 
 
[分子量分布を有する成分の測定対象イメージ比較(LC/MS、LC/CAD)] 
  
MS測定対象成分
:SIM、SRM*測定で対象分子のみを検出
     * SIM : Selected Ion Monitoring
        SRM : Selected Reaction Monitoring

CAD測定対象成分
:非特異的な網羅的検出

<MS定量の長所>
<CAD定量の長所>
SIM、SRM測定により、特定の1分子を測定対象として高感度検出が可能
成分間感度差が少なく、同一の標準品を用いなくても半定量が可能
測定対象の分子量分布が、標準品と異なっていても、網羅的に検出・半定量が可能
このようなHPLC分析で、CADの検出器が有効です
 ● 複数成分を網羅的に半定量したい場合
 ● 他社品などで標準品が入手困難な場合
 ● 対象が変性物や劣化物で標準品がない場合
 ● RI、ELSDより高感度での検出が必要な場合

分析機能と原理


カテゴリー

電池, IT機器, 環境, 材料・素材, 半導体・実装, ライフサイエンス , バイオ

分類

太陽電池封止材, 有機ELディスプレイ, 環境規制物質, 化審法(高分子フロースキーム), 高分子材料, 有機材料・化成品, 電子・機能性材料, 医療機器・医療材料, 再生医療/培養装置・培地・試薬, 診断薬・検査機器・バイオセンサ, タンパク質, 糖, 抗体, 低分子(天然物、生理活性物質), 脂質, 異物, 着色・変色