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01/05/2022

No.0567 タイプ分析によるエンジンオイル基油の劣化解析

エンジンオイルの成分のほとんどは基油であり、全体の劣化メカニズムを把握するためには添加剤のみではなく、基油の変化を調べることも重要である。今回FDMSの測定結果に対してタイプ分析を適用することにより、定量的に劣化度合いの評価が可能となったため、その事例を紹介する。

P02304.pdf
基油のFDMS測定
エンジンオイルの新品・使用品のヘキサン抽出物に対してFDMS測定を行った。

試料:エンジンオイル
新品

           Fig. 1    新品/FDMS マススペクトル
使用品(6ヶ月使用)

          Fig. 2    使用品/FDMS マススペクトル

タイプ分析および劣化解析

タイプ分析:化合物を官能基や不飽和度でグループごとに分類し、解析を行う。
 ・ 不飽和度の異なる炭化水素の存在比率が数値化可能
 ・ 炭素数の異なる炭化水素の存在比率が解析可能
FDMSの測定結果を用い、炭化水素を不飽和度により分類。

 0.5%以上増
 0.5%以上減
*P: Paraffins, O: Olefins, N: Naphthenes, A: Aromatics
           

炭化水素グループごとの存在比率を炭素数でプロット。
 

      Fig. 3    炭素数の異なる炭化水素の存在比率
FDMS測定・タイプ分析を基油の劣化解析に適用することにより、定量的な試料間比較を行い、劣化度合いの評価が可能となった。
本分析は、エンンジンオイルに限らず、潤滑油や燃料などの解析にも適用可能である



カテゴリー

自動車, 材料・素材

分類

高分子材料, 有機材料・化成品