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07/22/2015

No.0255 多孔質材料の曲路率測定

リチウムイオン電池用セパレータや燃料電池用カーボンペーパー等の多孔質材料の性能は、細孔径分布、BET法比表面積、流体透過性のみならず、貫通孔の曲路率(屈曲度とも呼称)にも支配される。円筒内層流を仮定すれば、各種の表面物性測定手法を組み合わせて曲路率の算出が可能となる。

●定義・算出方法

 

●高分子ろ過膜(リチウムイオン電池用セパレータ模擬)

 

 

 

試料
(公称値)
細孔比容積
Vp(cm3/g)
比表面積
SBET(m2/g)
空隙率
ε
空気透過性
k(Darcy)
曲路率
10μm
2.1
2.2
0.46
0.071
1.7
5μm
2.0
2.5
0.60
0.028
2.6
1μm
1.9
2.9
0.53
0.012
3.1
0.5μm
1.2
5.9
0.60
0.003
2.0
0.2μm
1.2
7.5
0.64
0.001
2.9
 
細孔比容積やBET法比表面積が1 μm以上試料と0.5 μm以下試料で大きく異なる。各グループ内で比較すると、細孔径が小さくなるほど、曲路率が大きくなっており、妥当な結果と考えられる。

●燃料電池用カーボンペーパー

 


試料
細孔比容積
Vp(cm3/g)
比表面積
SBET(m2/g)
空隙率
ε
空気透過性
k(Darcy)
曲路率
未処理
1.7
0.30
0.64
3.3
1.8
低撥水
1.4
0.16
0.56
3.1
2.6
高撥水
1.1
0.21
0.42
1.5
2.0
 
撥水処理試料の空隙はPTFEで充填されているため、細孔比容積や細孔直径が小さくなっている。PTFE添加量が少ない低撥水試料の曲路率が最大になっていることから、最も複雑な空隙ネットワークが形成されていると推察される。
 
 

関連する技術資料

No.0247 陽電子消滅寿命法による細孔サイズの評価
https://web02.tsc.collab.cloud/news/trc/news_rd01.nsf/0/6C633B1B5EE9DD1949257E61002A4851?open
No.0464 細孔・凹凸を捉える~表面物性測定~
https://web02.tsc.collab.cloud/news/trc/news_rd01.nsf/0/4A1F50480A7DB91849258673002B7633?open


カテゴリー

電池

分類

リチウムイオン電池