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02/17/2021

No.0458 電子分光による半導体材料のイオン化ポテンシャル、バンドギャップの評価

デバイスの電気特性と、その構成材料の組成や状態を系統的に把握することは、デバイス制御の観点で重要であるが、電気特性に直接的に関与する電子物性(イオン化ポテンシャル、バンドギャップ、バンドオフセットなど)の評価は、組成や状態と電気特性をつなぐ架け橋となる。本資料で、デバイスの電気特性に強く影響を及ぼす最表面近傍の電子物性を電子分光で評価した結果を紹介する。電子は物質と相互作用する確率が高いため、極薄膜の評価も可能であり、さらにエネルギーを失わずに動ける距離が短いため、最表面近傍の情報のみを選択的に入手することができる。

P00632.pdf
  電子分光の概念図
   光電子分光  電子エネルギー損失分光  X線吸収端構造  
   (XPS, UPS)     (EELS)      (XANES)
SiO2/p-Siの価電子帯オフセット評価
Siのイオン化ポテンシャル評価(XPS) 
XPS(もしくはUPS)スペクトルの低運動エネルギー側 (Cut off)と高運動エネルギー側(EVBM)の差からイオン化ポテンシャル(IP)を算出する。
 ※IP=1486.6- (Cut off – EVBM)
          Siの価電子帯(模式図)            XPSスペクトル(模式図)
SiO2のバンドギャップ評価(反射[R]EELS, XPS)
電子線やX線などで励起された電子(もしくは光電子)のエネルギー分光スペクトルを得ると、エネルギーを失うことなく飛び出す大部分の電子に加え、一部、バンドギャップなどによる電子励起過程(エネルギー損失)を経て飛び出す電子も捕らえることができる。この過程はEELSスペクトルだけでなく、XPSスペクトルにも認められる。

SiO2の価電子帯(模式図)
 

関連する技術資料
No.0555 第一原理計算による固体電解質の化学安定性評価 (状態密度, 電位窓)
https://web02.tsc.collab.cloud/news/trc/news_rd01.nsf/0/67A2A8AB1F8D7A90492587A400177710?open

分析機能と原理


カテゴリー

自動車, IT機器, 材料・素材, 半導体・実装

分類

金属・無機材料, 電子・機能性材料, ナノ材料, LSI・IC・メモリ, パワーデバイス・ディスクリートデバイス, 化合物半導体・オプトデバイス