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01/14/2021

No.0444 RBS、HFS法によるDLC膜の物性・構造評価

DLC(Diamond-Like Carbon)膜とは、炭素と水素からなる非晶質の薄膜材料である。表面の平滑性に優れ、超硬度、耐摩耗性、低摩擦等の特徴を持つ。現在の需要は各種部材の表面保護が主であるが、低温成膜が可能となってきているため、DLC膜が持つガスバリヤ性からアルコール類のペットボトルへの適用にも期待がかかる。また、最近では電子放出(フィールドエミッタ)素子用材料としての研究も進められており、次世代の平面ディスプレイ用材料としても注目されつつある。

このように、多種多様な分野で利用されているDLC膜であるが、その特性は成膜プロセスにより大きく変化する。特に膜中の水素量は特性への影響が大きいため、水素量や化学状態の把握は必要不可欠であると言える。
ここでは、異なる2条件でSi基板上に成膜したDLC膜について、RBS/HFS法による水素の定量、および他手法を交えた化学状態,密度,硬度等の評価結果を紹介する。

 RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry   
  HFS:Hydrogen Forward scattering Spectrometry
P00379.pdf
    
        RBS/HFS原理模式図

試料A
 標準的なプラズマCVD-DLC膜
試料B
 低温成長によるプラズマCVD-DLC膜
RBS

RBS/HFS分析結果


  試料AのRBS/HFSスペクトル

シミュレーション時に
仮定した深さ分布

        試料Aのデプスプロファイル

H/Si比のHe照射量依存性
 ・ 測定時に水素シグナル強度の変化をモニターすることで、
   水素脱離の有無を調査。
 ・ 今回、試料BはH脱離有。
   本来は実測値の2.8倍の水素濃度と推定。
 
      
 

各種手法を用いたDLC膜評価結果

試料Aは典型的なDLCの組成・構造・硬度結果を示した。
試料Bは水素含有量が高く、硬度も低い。分光学的手法から膜構造はポリマー化していることが判明した。

分析機能と原理


カテゴリー

自動車, 材料・素材, 半導体・実装

分類

高分子材料, 金属・無機材料, 電子・機能性材料, 複合材料