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02/09/2015

No.0237 高速ラマンイメージングによる構造分布解析

~射出成形品・セラミックスの破壊要因の考察~
ラマン分光法は局所的な配向や結晶性、応力の解析に有効である。高速ラマンイメージングの実現で、それらの分布が広い領域で可視化でき、材料特性につながる構造やトラブル因子のより的確な把握が可能となった。本分析では射出成形品とセラミックスの配向、応力分布を解析し、潜在的破壊因子を考察した。

ポロプロピレン(PP)射出成形品の配向分布解析

    表面測定 :樹脂流れと配向方向
ゲートから先端方向へ直線状に分子鎖が配向
先端から35mm付近で大きく配向度が低下
→ 急激な変化により反り異常などの発生の恐れ
【推定要因】 発生ガスによる内圧の増大

    断面測定 :断面配向とスキン層
表層20μm程度の領域に高配向のスキン層が形成
 ・30~40mmでスキン層が消失
 ・中央部は無配向
内壁面に比べて外表面の方が配向度が高く、スキン層が厚い
→ 内外層配向度差異による反り
【推定要因】 冷却温度ムラ

    屈曲部の配向
局所的に高配向度となるスキン層が存在
→ 残留応力が存在する可能性が高い
【推定要因】 急な通路径の減少による圧力集中、
       強い剪断応力の作用
2つの樹脂流れが合流
→ 界面(ウエルドライン)の形成
→ 界面に沿った脆性破壊
無配向領域の形成
隣接する高配向層との熱収縮率の差異
→ コーナー部がクラックの起点となりやすい構造
【推定要因】 2つの樹脂流れの衝突による樹脂の滞留
 

積層セラミックスコンデンサの応力・結晶性評価

エリア2


エリア1に対してラマンバンドの高波数ピークシフトと半値幅の増大
→ 圧縮応力の発生と不均一な構造(結晶性低下や応力の不均一分布など)の形成
   【推定要因】線膨張係数の異なる
BTOと内部電極の積層構造におけるBTO層の薄層化に
       よる応力集中 → 絶縁破壊の要因
エリア3
エリア2よりも大きな高波数ピークシフト
→ エリア2よりも大きな圧縮応力の発生
    【推定要因】急峻な応力変化のあるエリア12に接し、さらに外部電極の形成により
       大きな応力発生 → 割れの起点

分析機能と原理


カテゴリー

材料・素材

分類

高分子材料