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09/29/2021

No.0494 多入射角分光エリプソメトリーによる薄膜材料評価

分光エリプソメトリーは、光の偏光状態を解析することにより光学定数や膜厚等を算出する手法である。近年、コンピューター技術の進歩により、高度な解析情報を提供することができるようになった。ここでは、新規導入した高精度分光エリプソメトリーを用いて評価した測定例を紹介する。

装置特徴と主な評価材料
 装置外観
 【 装置の特徴 】
 
  ♦ 回転補償子型の光学システムを採用。
   0<Ψ<90、-180<Δ<180 全領域測定可能
  ♦ 測定波長域 (193 nm~1700 nm) 。  610ポイント
  ♦ 最小ビーム径500 μmφ。通常は2~3 mmφ程度。
  ♦ 300 mmウェハ対応可能な試料ステージを搭載。
  ♦ 高度な解析ソフトを採用。
   ・ 異方性解析、不均一性評価 
   ・ 多層膜解析
   ・ 多入射角フィットやΔnの測定が可能

 分野
主な材料
評価項目
半導体関連膜
SOI、High-k、Low-k、SiON、極薄SiO2、SiN、アモルファスSi、 Poly-Si、エピ膜、ドープ層 (Si、GaAs、InP) 、AlGaAs、InGaP、HgCdTe屈折率や膜厚の面内分布、結晶性評価、ボイド分布、nmオーダーの膜厚評価、混晶比の算出等
多積層試料
光学コーティング試料、反射防止 (AR) 膜、超格子 AlGaAs、SiGe) 、TFT部分劣化解析、各層の屈折率や膜厚の評価
高度な解析分野
レジスト膜、ITO、DLC、GaN、有機EL 屈折率の深さ方向評価、配向解析、最表面部の欠陥解析、表面・界面粗さ評価
異方性試料
サファイア、SiC、PET、ポリカーボネート、ポリイミドX、Y、Z方向の屈折率評価、Δn (複屈折) 評価
その他
金属膜:Cu、Al、Au、Ag、TiN、Wsi 等 
液体、フィルム、有機膜
屈折率や膜厚の評価

多孔質Low-k膜のマッピング測定例

200 mmウェハのマッピング測定 (膜厚分布、ボイド率分布) 結果を示す。ウェハ中央付近と端付近で膜厚分布 (~20 nm厚) 、ボイド率分布 (~2%) に差が観測された。  膜厚分布                  
  ボイド率分布
上記は、ラサ工業株式会社および日本ハネウェル株式会社との共同研究の成果である。

配向膜の測定例極薄SiO2膜の測定例
ラビング処理された配向膜の表面配向層の屈折率測定結果を示す。X軸 (ラビング) 方向とY、Z軸方向で~0.015程度の屈折率差が観測された。極薄 (1.5 nm厚) SiO2膜/Si基板とSi基板の位相差 (Δ) の変化を測定した。nmオーダーの膜厚による変化がはっきり観測されている。

ITO膜の深さ方向の測定例

ITO膜の深さ方向の光学定数の変化を測定した。表面側に向かい屈折率は高くなり、消衰係数は低くなる傾向が観測された。

カテゴリー

材料・素材

分類

有機材料・化成品