11/02/2021
No.0520 イオンモビリティ搭載質量分析計の抗体・核酸・ペプチドなど新モダリティ医薬品への活用
当社では、構造が複雑なバイオ医薬品の分離技術向上を図るため、新たにイオンモビリティ機能を搭載した新規質量分析計timsTOF Pro(ブルカー社)を導入しました。これによりバイオ医薬品の同一分子量の物質を区別できるようになり、同定の確実性を高められます。
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timsTOF Proの特徴 |
✔ イオンモビリティによる同一分子量の物質の分離
✔ 高m/z領域(6,000超)の高分解能測定が可能
✔ 高い選択性と高感度
✔ 優れた堅牢性
具体的な活用例
下記は分析可能な例です。
他にも、様々な分析に活用できます!
1.抗体医薬品のペプチドマップ、アミノ酸配列解析イオンモビリティを活用すると、より夾雑成分の少ない、高品質のスペクトルが得られます。
通常はノイズ成分に埋もれてしまう微量成分についてもスペクトル抽出により分析可能になります。
2.ADC、特にシステイン型のADCの分析
高m/z領域での高分解能測定を活用できます。
3.糖鎖構造解析
糖鎖には枝分かれ構造の異性体が多く存在します。イオンモビリティを用いて構造ごとに分離することで、これまでに分析できない糖鎖の構造
決定を容易に行えます。 |
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イオンモビリティ分離とは
イオン化された化合物を、その物質の嵩高さ(衝突断面積と電荷)の違いにより分離する方法。
通常の質量分析では分離不可能な同一分子量の構造異性体の分離が可能。 |
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糖鎖標準品の分析
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Nーアセチルノイラミン酸が2つのガラクトースのどちらかに
結合した同一分子量の2種の糖鎖標準品の混合物
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Cys(システイン)型ADCの分析 | オリゴRNAの分析 | |
抗体のCysに薬物を結合させた場合、Native条件で高m/z(6,000~8,000)でのLC-MS測定が必要。
前処理(糖鎖の除去)なしで高分解能測定が可能。
デコンボリューション結果
| ヒートマップ
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サンプル:20merオリゴRNA
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MS/MS測定による配列確認結果
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カテゴリー
ライフサイエンス , 医薬
分類
構造決定・特性解析, バイオ医薬品, タンパク質, 糖