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08/31/2021

No.0471 RBS/HFSによる機能性フィルムの組成分析

食品・医薬用包装やディスプレイ・電池用途に活用されるハイバリア機能・電気的機能付与フィルムについて、機能性の発現・制御に重要な蒸着膜の組成は、RBS/HFSを利用すれば、水素等の軽元素やアルゴン等の不活性元素を含めて分析することができる


透明ガスバリア膜の評価:SiOx / PET

1) Thin Solid Films 517 (2009)  6230
食品、医薬品用包装用途に加え、近年では、太陽電池、有機EL分野においてより高性能なガスバリア膜が求められている。
シリカSiOx(X=1~2)のガスバリア性は組成に大きく依存する。x=2では完全に透明であるがガスバリア性に乏しく、x=1では、逆に、ガスバリア性は十分であるが透明性は悪くなる1)。ガスバリア性と透明性を両立させるために、 O/Si比率及び密度の制御が重要である。
 試料:SiOx (200 nm) / PETフィルム(125 μm) ターゲット及び成膜時雰囲気の異なる2試料①、②

    Fig.1 : RBSスペクトル          Fig.2 : HFSスペクトル      Fig.3 : 試料①の深さ方向組成分布
 
  RBSによりO/Si比を、HFSによりH/Si比を正確に定量できる。
  膜中不純物としてArが認められた。

    Fig.4 : X線反射率曲線
 
  薄膜の密度評価はXRRが有効である。
  高精度で正確度の高い密度値が得られる。
  ガスバリア性、透明性を両立する薄膜作製 → 組成 (RBS/HFS)、密度 (XRR)の評価が有効

透明導電性フィルムの評価:ITO / PET

タッチパネルの需要拡大に伴い、透明導電フィルムの市場が拡大している。透明プラスチック基板の耐熱温度は一般的に200℃程度しかないため、ガラス基板上と同様の手法で高品質の透明導電膜を成膜することは難しい。また、用途によって要求される抵抗値、透過率が異なるため、それらを決定する膜組成、構造等の物性評価が重要である。ここでは、表面抵抗、光学特性の異なる2種類のITO膜について、組成、結晶性を評価した事例を示す。
 試料 : ITO (200 nm) / PETフィルム(125 μm) 室温成膜、成膜時雰囲気の異なる2試料③、④
 
     Fig.5 : 光学特性の比較       Fig.6 : 試料③のRBS/HFSスペクトル     Fig.7 : X線回折パターン
  
   
                             *波長400~700nmの平均値
 (In+Sn)、O、Ar、Hの組成評価が可能 (Fig.6)。RBSで分離できないIn、Snの定量はICP-AESが最適である。
 O、Hの組成について有意差が認められた。
 試料③は非晶質、試料④ではITO結晶が認められた。
  組成 (RBS/HFS+ICP-AES)、構造 (XRD)の評価 → 抵抗値、光学特性の制御に有用

カテゴリー

自動車, IT機器, 材料・素材, 半導体・実装

分類

電子ペーパー, 有機ELディスプレイ, 高分子材料, 電子・機能性材料, MEMS・センサ・TSV