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10/16/2014

No.0221 高感度ラマン分光装置を用いた高速ラマンイメージング

-SiCの結晶多型・キャリア濃度・応力分布評価-
ラマン分光法は各種材料の組成、結晶性、結晶多型、キャリア濃度、応力等の評価が可能であり、また分光法としては比較的高い空間分解能(~1µm)を有することから、微小部領域での構造評価に極めて有効である。当社では高感度ラマン分光装置を導入し、従来よりも高速かつ簡便にラマンイメージを取得できるようになった。微小領域での構造変化をイメージとして捉えることによって、より詳細な構造評価が可能になる。ここでは、SiCの結晶多型、キャリア濃度、応力分布評価をラマンイメージングを用いて行った結果を紹介する。

(a) Optical microscope image

(a) Optical microscope image

(b) Raman spectra1

(b) Raman spectra

(b) Raman spectra2


FTO:SiCにはポリタイプが存在し、3C-SiCでは横光学(TO)フォノン領域には1本のラマン線が観測されるのに対し、4Hや6H-SiCでは対称性が低下するために、数本のラマン線が観測されるようになる。このラマン線を折り返しモード(Folded mode)と呼び、特にTOフォノンの折り返しモードについてFTOと記載する。本ラマン線は結晶構造に敏感であるため、ポリタイプの同定に用いられる。

LOPC:縦光学(LO)フォノンは縦波(粗密波)であるため、クーロン力を介して同じ縦波であるプラズモン(電子の集団運動)とも相互作用する。その結果、両者が結合したようなモードとなる。これをLOフォノン-プラズモン結合モード(LOPCモード)と呼ぶ。
LOPCモードはキャリア濃度の増大と共にブロードになり、かつ高波数側にシフトする傾向があり、LOPCモードの測定から試料のキャリア濃度を評価することが可能である。

(c) 6H image (I<sub>792</sub>/I<sub>796</sub>)

(c) 6H image (I792/I796)

(d) Carrier concentration image (by ν<sub>LOPC</sub>)

(d) Carrier concentration image (by νLOPC)

(e) Stress image (ν<sub>792</sub>)

(e) Stress image (ν792)


4H単結晶SiCウェハの積層欠陥の多い領域での多型、キャリア濃度、応力に関するイメージを示す。一度の測定でこれらすべての情報が取得できる。 領域内では多型分布が生じており、表層近傍に6Hが形成されている部分が存在する。キャリア濃度は6H形成部で低下しており、4H部と比較すると1/4程度に減少していることが確認される。また、6H内では応力分布が生じており、マイクロパイプ周辺部で、圧縮応力が生じているものと考えられる。


分析機能と原理


カテゴリー

半導体・実装

分類

化合物半導体・オプトデバイス