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12/05/2016

No.0318 太陽電池における電極焼成プロセスの最適化を目指した分析評価

電子顕微鏡による太陽電池電極の元素分布や反射防止膜界面の焼成貫通(ファイヤースルー)の形態観察といった解析は、変換効率向上のための電極焼成条件の最適化に役立つ。

受光面側Ag電極の焼成温度を変化させて、コンタクト性の評価を行った

ソーラーシミュレータの測定結果

電極焼成条件
Voc [V]
Jsc [mA/cm2]
FF
変換効率[%]
best
0.626
35.90
0.769
17.27
over
0.595
34.35
0.505
10.33
short
0.595
17.52
0.274
 2.86




Ag電極近傍の断面SEM像 (反射電子像) 
・焼成不足は、Pb、あるいはPbxOyが析出、残存(赤矢印部)しており、ペースト材の反応が十分ではない様子が見られる。
・焼成良好・焼成過剰ではチャネリングコントラストが明瞭になっている。これは、金属の結晶サイズが十分に大きくなることで、結晶方位の違いが捉えられているものと考えられる(青丸部)。


     焼成不足(short) 
     焼成良好(best) 
     焼成過剰(over)

Ag電極/SixNy(反射防止膜)/Si基板の断面TEM-EDX
・焼成不足では、SixNy上にPbが大量に存在
・焼成良好では、SiNyを浸食するようにPbが拡散 (白丸部)
ファイヤースルーは、Pbが主となりSixNyを貫通してAg電極との電気的接続が行われている!

        焼成不足(short) 
        焼成良好(best)  

焼成条件と変換効率を見るだけでなく、どのような現象が起きているかを解明することで最適化の指針を得ることができる。

新規材料を開発する上でも、元素拡散を詳細に解析することで適切な材料、組成を選定する指標にすることができる。

分析機能と原理



カテゴリー

電池

分類

太陽電池