表面XAFSによる正極活物質の劣化評価

09/22/2021

No.0491 表面XAFSによる正極活物質の劣化評価

リチウムイオン電池正極材料について、サイクル試験による正極活物質表面(数10 nm)の化学状態変化をXAFSにより評価した。各充電深度に調整した正極について表面XAFS分析を行うことで、正極表面の劣化を数値化して試料間比較できることがわかった。


	小型巻回ラミネートセル(890 mAh)の初期品および 300サイクル品(室温) ・ Positive-electrode ：Li(NiCoMn)O₂ ・ Negative-electrode：Graphite　・ Electrolyte：1M LiPF₆+EC/DEC（1:1) →正極を摘出して各充電深度(SOC：State of Charge) 　に調整し、表面XAFS分析を実施した。	Fig.1 300サイクル品の放電曲線

　　　　初期品　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　300サイクル品

　　　　　　　　　Fig. 2 初期品および300サイクル品正極のNi L₃端表面XAFSスペクトル(全電子収量法)

　　　　　　　　Fig.3 SOCとピーク強度比の関係

　　　・初期品、300サイクル品ともに、SOCの増加により、ニッケルの酸化　(①Ni²⁺成分の減少、②高価数成分の増加)が進行(Fig.2)
　　　・300サイクル品では、初期品よりもスペクトル変化が鈍化　(=Fig.3のグラフの傾きが減少)

サイクル試験により、正極活物質粒子の表面には充放電に寄与しない成分(Ni²⁺)が増加したと推定