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11/26/2019

No.0386 マイクロプラスチック分析法の検討と関連技術の研究開発動向調査

近年、海洋汚染に関する環境汚染問題として、マイクロプラスチックによる問題が報告されている。今回、模擬マイクロプラスチック試料を用いて分析法を検討した。また、マイクロプラスチック問題に関連する技術(分析方法、代替素材開発、分解メカニズムなど)の研究開発動向を調査した例を示す。

1.マイクロプラスチック分析法の検討
PP、PU、PMMA、PETを粉砕した模擬マイクロプラスチック試料を弊社で作製し、顕微FT-IRを用いたプラスチック種の定性分析と、粒子径分布測定を実施した。

                      正反射IRイメージング結果

               粒子径分布測定結果
IRイメージングでは、全てプラスチック種を定性することができた。また、粒子径分布測定では、現在マイクロプラスチックとして規定されているサイズ(0.1~5000 µm)全域をカバーするデータを取得できた。
粒子径分布に関するデータは、㈱堀場製作所「レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-960V2)」を用いて得られたものです。
ご協力いただきました㈱堀場製作所 関係者様に深く感謝いたします。
2.マイクロプラスチック問題に関連する技術動向の調査
国際機関・政府の動向
WHOでは、飲料水におけるマイクロプラスチック問題の現状と、課題、必要な研究について提示
 → マイクロプラスチックのヒトへ暴露経路、マイクロプラスチックの大きさ、形状、種類と分解性・有害性の関係解明 が必要である。
UNEP(国連環境計画)では、使い捨てプラについてロードマップ作成
 → 法令整備、代替技術促進が必要である。
日本・経済産業省は、マイクロプラスチック問題を解決のため「海洋生分解性プラスチックス開発・導入普及 ロードマップ」を発表
 → 生分解性メカニズムの解明、共通の生分解性評価方法の確立、海洋中マイクロプラスチックの測定方法の開発/標準化
研究開発の動向
マイクロプラスチックの研究発表は近年増加し、分析が係わる研究が急増している。
様々なデータ不足が指摘されており、マイクロプラスチック問題解決には、データの取得・解析が重要である。
 
マイクロプラスチック問題で研究されている主なテーマ
  ・環境モニタリング(マイクロプラスチックの多い場所、分布量、マイクロプラスチックの形状の把握)
  ・マイクロプラスチックの形状把握のための分析方法
  ・マイクロプラスチックの物理化学的性状(有害物質の吸着、生物蓄積性の問題)
  ・プラスチックの分解メカニズム・分解制御方法の開発 

カテゴリー

環境, 調査

分類

環境規制物質, 室内空気・大気・作業環境, 科学技術政策関連