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10/25/2021

No.0513 量子化学計算を用いた有機EL材料Ir錯体の発光波長予測

有機EL用発光材料であるIr錯体について量子化学計算を実施し、構造異性体間での発光波長の違いを精度良く予測する事に成功した。これにより、実測と計算の発光波長の照合に基づく配位子構造の特定や、劣化等による変性物の発光波長が予測できる。

Ir錯体における発光波長の変化 量子化学計算による発光波長の算出
Ir錯体における配位子構造の僅かな違いにより発光波長が変化する事が報告されており[a, b]、配位子構造の制御は有機ELデバイス設計上重要となっている。
 
青色                 黄色
     
  機器分析のみからは、詳細な配位子構造の特定は困難。
量子化学計算を用いる事で、類似した配位子構造を持つIr錯体間の発光波長の違いを、精度良く予測する事が可能である。
 
リン光発光を考慮し、T1状態とS0状態のエネルギー差から近似的に発光波長を評価
  
・ 重元素(Ir)を含んだ化合物 基底状態(S0)と三重項励起状態(T1)
             
          専門性の高い条件設定が必要

Ir錯体の構造異性体における発光波長の計算

2種類の構造異性体について、発光波長を計算し、実験値と比較。
    【 CHO基の置換サイトが異なる異性体 】
 
    【 キノリン環の配置が異なる異性体 】
 
     化合物A1           化合物A2     化合物B1          化合物B2

 発光波長の計算値と実験値
  
         実験の傾向を再現し、異性体間の発光波長の違いを予測するのに十分な精度を有する。
専門性の高い巧みな計算条件の設定に依り、機器分析では困難な「配位子構造の特定」「劣化変性物の発光波長の予測」が可能です。

カテゴリー

IT機器

分類

有機ELディスプレイ