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04/04/2022

No.0595 高感度質量イメージング装置(NanoSIMS 50L)を用いた酸素析出物の評価

高感度質量イメージング装置(NanoSIMS 50L)は、SIMS(二次イオン質量分析)の中で最も空間分解能が高く、同時に高感度、高質量分解能でのイメージング測定が可能である。今回は、Siウェハ内の酸素析出物について評価した事例を紹介する。

NanoSIMS 50Lの特徴 酸素析出物(BMD)とは
<主な装置スペック>
  
 
Siウェハをアニール処理することにより、「表層無欠陥、内部にはゲッタリング層」という理想的なウェハ構造を有する。酸素析出物【BMD(bulk micro defects, oxygen precipitate)】は、デバイス工程での金属汚染ゲッタリングサイトとして重要な役割を果たしている。

D-SIMS, NanoSIMSによる酸素の面内分布評価


 
無欠陥領域とバルク層では酸素濃度に違いが見られる。バルク層では面内で酸素に分布が認められるものの、BMDの明瞭な分布は捉えられていない。 ただし、D-SIMSを用いた高感度条件で深さ方向分析をすれば、NanoSIMSよりも低い酸素濃度まで(1×1016  atoms/cm3台)検出できる。
 
           無欠陥領域              バルク層
     
 

 
D-SIMSを用いたイメージング分析では捉えることができなかったバルク層におけるBMDの面内分布が、NanoSIMSの高空間分解能測定では明確に捉えられている。また、視野内に複数のBMDの存在も確認できる。 NanoSIMSはD-SIMSに比べて観察視野が小さくても、高感度に不純物を検出できる。
 
             バルク層
     
     微小領域におけるH, C, N, O等の軽元素の高感度イメージング分析には、NanoSIMSが有効である。



カテゴリー

材料・素材, 半導体・実装

分類

高分子材料, 有機材料・化成品, MEMS・センサ・TSV