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09/26/2014

No.0106 散乱電子メスバウアー分光法によるSUS表面の構造解析

57Fe核上に磁場が印加されると、核のエネルギー準位がゼーマン分裂を起こし、メスバウアースベクトルは6本に分裂します。57Fe核上の磁場(有効内部磁場)は化合物固有の値であるため、磁性酸化物の同定・分離定量が可能です。

図aに代表的な鉄の磁性酸化化物のスペクトルを示しました。これらの混合物では、スペクトルは各成分の足し合わせとなるため、カーブフィッティングでピーク面積比を求め,組成を求めます。

図bに、SUS表面の腐食に関連して測定したスペクトルを示しました。H2Sによる腐食(b)では、Fe2+とFe3+の硫化鉄、加熱(c)によるγ-Fe2O3 (+Fe3O4)の生成を確認しています。

メスバウアー法の特徴
1.磁性化合物では酸化物の種類(α-Fe2O3,Fe3O4,γ-Fe2O3,金属Fe,α-FeOOH)の区別、非磁性化合物では価数と配位数の情報(3価4配位、3価6配位、2価6配位等)が得られます。
2.スペクトルの面積比は、ほぼそのままFe原子数に比例し,定量性が良好です。
3.鉄以外の化合物の情報はまったく得られません.他の手法(XRD,ラマンなど)との併用で総合的に解析することが望ましいと考えられます。

図a 代表的な鉄の磁性酸化物のスペクトル

図a 代表的な鉄の磁性酸化物のスペクトル

図b  SUS表面の散乱電子メスバウアスペクトル

図b  SUS表面の散乱電子メスバウアスペクトル


b)H2Sによる腐食,c)加熱による表面酸化




カテゴリー

電池

分類

原子力・新エネルギー