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09/25/2014

No.0060 Agナノ分散インクによる印刷配線形成過程の解析

電子ペーパーやLCD、有機ELなど、印刷によるデバイス製造を狙った、プリンタブルエレクトロニクス技術の研究が進んでいる。そのうち、すでに一部の分野で実用化され、注目されているAgナノ粒子インクについて、印刷配線形成過程の解析を試みた。

フイルム上にAgナノ粒子インクを塗布、焼成温度を変化させた試料を作製し、 TEM観察による焼成後の粒子の形態観察や、抵抗率・膜厚測定、およびTPD-MSを用いて残存する分散剤成分を分析した事例を紹介する。


1.断面SEM観察・TEM観察

(1)155℃焼成(2)180℃焼成(3)230℃焼成

155℃焼成では、Agナノ粒子が1次粒子の状態で凝集しており、かつ、粒子間には有機物が残存していることがわかる。180℃焼成では1次粒子の減少・粒子粗大化が進行し、230℃焼成では、微小なAgナノ粒子が消失し、隣り合う粗大化した粒子が生成していることが確認できる。粒子の接触部が多くなることは、電気抵抗の減少に対応している。


2.焼成温度と抵抗率・膜厚

抵抗率は205℃焼成の試料で大幅に低下している。

焼成温度と抵抗率・膜厚


3.昇温脱離-質量分析

昇温脱離-質量分析(TPD-MS)の測定結果より、比較的低い温度から各種ガスが発生していることが明らかとなった。 特に、酢酸が155℃付近から急激に発生していることが特徴的である。

昇温脱離-質量分析



分析機能と原理


カテゴリー

IT機器

分類

電子ペーパー