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10/18/2021

No.0507 高分解能X線顕微鏡によるスフェロイドの三次元形態観察と定量解析

X線顕微鏡は、試料の内部構造をµmオーダーの高空間分解能で非破壊観察でき、三次元形態の観察が可能である。当社では、装置の高速化と前処理技術の確立により、スフェロイドの三次元観察に成功し、生細胞、死細胞の体積を高精度に定量評価できる。

スフェロイド(Spheroid)についてX線CTによるスフェロイド観察の特長

 青:増殖細胞
 紺:静止細胞
 赤:死細胞
 
細胞培養により、細胞同士が凝集した球状の三次元構造体である。 細胞医療や再生医療、創薬研究で活用されている。
一定以上の大きさになると、内部に養分や酸素が行き届かずに、内部から壊死することが知られる。細胞群は、外側から増殖細胞、静止細胞、死細胞と分類されており、これらをX線CTにより三次元で評価する方法を実現した。
 
■ 高空間分解能・高速CT撮影
 - sCMOSカメラ搭載で高解像度(0.33 µm/pixel)、
   高速CT測定(数分~数十分)を実現
■ 高コントラスト
 - 染色処理を施し、液中で生体試料の高コントラスト撮影を実現
■ 非破壊測定
 - 500 μm以上の試料も非破壊で(透明化不要)
   三次元像を取得(任意の断層像を取得可能)

X線CTによるスフェロイドの三次元観察・定量解析各細胞領域の定量化

       三次元の形態情報の取得と定量解析が可能
 
培養7日と14日で、それぞれ3試料間の各領域の体積を抽出し、算出

撮影法①で増殖細胞を高精度に抽出することができ、得られた結果は、セルカウント及び組織切片での生細胞と死細胞との割合と同程度であった。(SD:標準偏差、CV:変動係数
  X線CTによる解析で高精度に定量できることを確認

各細胞領域の識別形成条件の異なるスフェロイドの比較解析例
撮影法①               撮影法②細胞数の異なるスフェロイド(培養14日、n=1)で各領域を比較

領域分け後の立体像(左上)と断層像  高分解能での撮影を実現
 密度差(コントラスト)により、細胞の領域分けが可能

       スフェロイド形成に使用した細胞数
   培養条件による、細胞割合や形態の違いを評価可能
   ● 切片作製や蛍光色素、透明化処理などが必要なく、大きなスフェロイド(500 µm以上)を測定可能
   ● 三次元の形態情報を得ることができ、そこから任意の断面の抽出や定量的な解析が可能
   ● 細胞体だけでなく足場材も含めた三次元的な観察・定量解析にも適応可能

カテゴリー

ライフサイエンス , 医薬, バイオ

分類

再生医療/培養装置・培地・試薬, 創薬研究支援, セルベースアッセイ(CBA)