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08/04/2023

No.0667 直接導入質量分析法によるポリマー成分の同定

ポリマーの定性分析には一般的に熱分解GC/MSがよく用いられるが、シンプルな組成のポリマーであれば直接照射プローブ(Direct Exposure Probe: DEP)を用いた直接導入MS測定を行うことで、試料量が微量の場合でもフラグメントイオンや繰り返し構造の情報から同定が可能であるため、その方法を紹介する。

P02470.pdf
熱分解GC/MSとの装置構成比較
 熱分解GC/MSでは試料を熱分解炉で加熱の後、GCカラムを通過した化合物がイオン源でイオン化されて検出器に導入される。このため、個々の熱分解生成物を分離検出できる一方で、比較的分子量の大きい成分や高極性成分はイオン源までたどり着くことができず、検出することができない。
 
< 熱分解GC/MS >
 
 
 他方、DEPを用いた直接導入MSでは、プローブ先端のフィラメントに試料を載せ、イオン源内で電流を流すことで抵抗加熱により試料を加熱し気化させて検出を行う。プローブ先端は1000℃以上まで瞬間加熱されるため、ポリマーを測定すると主にその熱分解生成物を検出することができる。成分分離はできないが、少ない試料量でより分子量の大きいイオンまで検出することが可能となる。
 
< 直接導入-MS >

 

ナイロンの直接導入MS測定例

■ ナイロン6


■ ナイロン12

  

カテゴリー

自動車, 電池, IT機器, 材料・素材, 半導体・実装, ライフサイエンス

分類

太陽電池封止材, 高分子材料, 有機材料・化成品, 加熱発生ガス, 複合材料, 実装・パッケージング, 医療機器・医療材料