10/01/2014
No.0142 炭素材料の表面化学構造解析
炭素材料の表面化学状態は、接着性、液中での分散性、大気中での分子の吸着性などに影響を及ぼす。当社のXPSでは、炭素材料に対する高度なピークフィッティングや気相化学修飾法により表面の詳細な化学状態解析が可能である。また、吸着物などの解析にはTOF-SIMSが有効である。
XPSによるカーボンブラックの表面官能基の解析
(1) 表面元素組成と化学状態の解析
各種処理を施したカーボンブラックについて、表面組成と化学状態をXPSで解析した。
還元処理 | : | H2(5%), 600℃で30分間処理 |
O2処理 | : | O2(100%), 400℃で30分間処理 |
UVオゾン処理 | : | UVオゾンにて60分間処理 |
UVオゾン処理では酸素量の増加が顕著であり、酸素を含む官能基の増加が示唆される。
グラファイト構造に特徴的な非対称成分を含むピークフィッティングにより、 UVオゾン処理ではCOO、C=O、C-O成分が増加することがわかる。
約0.3%含まれている硫黄の化学状態についてもUVオゾン処理では一部が硫酸(またはスルホン酸)に変化していると考えられる。
(2) 気相化学修飾法*によるカルボキシ基定量
C1sのピークフィッティングにおいて、COO成分にはカルボキシ基以外の官能基も含まれているが、トリフルオロエタノールによる化学修飾で、カルボキシ基を選択的に定量することが可能である。
TOF-SIMSによるカーボンブラックの表面吸着物の解析
UVオゾン処理の正2次イオンスペクトルでは、アンモニウムやフタル酸エステルなどの吸着物が検出されており、負2次イオンスペクトルでは、硫酸成分が検出された。表面官能基の生成とともに極性成分の吸着が進行していることがわかる。
分析機能と原理
カテゴリー
材料・素材
分類
複合材料