08/07/2020
No.0428 高感度NMRを用いたOLED材料中微量不純物の構造解析
有機EL材料中の原料不純物や劣化成分などは微量でもディスプレイの耐久性や均一性に悪影響を及ぼす可能性があるため、どういった構造の不純物が含まれるかを調べることは重要である。本分析事例では、有機ELデバイス中の不純物や劣化物の詳細構造解析を目的とし、有機EL材料中の微量成分の精製と、高分解能MSおよび高感度NMRによる構造決定を試みた。
LC分取
9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン原料のLC分取
■分取量
注入量:0.5mg×60回
不純物2の回収量は
0.6mg
LC/MS分析結果
ただし、MSでは置換基位置を決定することは困難。
一次元NMR分析結果
測定条件
・装置:
600MHz NMR(+極低温プローブ)
・試料量(絶対量):
0.1 mg
・積算回数
1
H:128回(約20分)
13
C:約20000回(約16時間)
1
H NMRスペクトル
1
H NMR ,
13
C NMRスペクトルから原料9, 10-ジ(2-ナフチル)
アントラセンの混在が確認された。
13
C NMRスペクトル
8.6 ppm (
1
H)や123 ppm(
13
C)などの特徴的な化学シフト値から
ハロゲン隣接炭素などの存在が推定された。
NMR Predict
*
による推定構造のスペクトル予測
(
*
Modgraph Consultans社スペクトル予測ソフト)
スペクトルの予測計算は、部分的に合致する場合もあるが、全ての
ピークを完全に帰属することは困難。
二次元NMR分析結果
相関ピークの例
原料の10位のナフチルがBrとなった構造であることが明らかとなった。
LC分取により試料中の数%の微量不純物を回収することができた。また、得られた不純物の高分解能MSによる組成演算やフラグメントイオン解析から構造を推定することができた。さらに、高感度NMRによる二次元NMRを含めた解析を行うことで、微量成分に対しても置換位置を含めた化合物の詳細構造を決定することができた。
分析機能と原理
【有機分析】NMRによる有機構造解析(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)
カテゴリー
IT機器, 材料・素材, 半導体・実装
分類
有機ELディスプレイ, 高分子材料, 有機材料・化成品, 有機トランジスタ
CONTACT US
分析・調査事例 検索ページへ
お困りごとは何ですか? 分析・評価総合案内へ