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10/06/2014

No.0185 高分子フロースキーム

新規高分子化合物を申請するに当たり、高分子フロースキーム試験を行う必要があります。

1.高分子化合物の定義

化審法において、高分子化合物は以下のように定義されています。
1種類以上の単量体単位の連鎖により生成する分子の集合から構成される。
3連鎖以上の分子の合計重量が全体の50%以上を占める。
同一分子量の分子の合計重量が全体の50%未満である。
数平均分子量が1,000以上である。

2.高分子フロースキーム試験および申請の概要

新規高分子化合物を製造・輸入する前には高分子フロースキーム試験を行い、その結果をもって、届出あるいは申出を行う必要があります。試験開始から申請までを簡単にまとめると、以下の図のようになります。


高分子フロースキーム


(*1)重金属を含むポリマー
エポキシ基、イソシアネート基など人毒性の疑いのある官能基を有するポリマー
(*2)重金属を含むポリマー
水、酸又はアルカリに溶解する場合、基本骨格部分が陽イオン性を示すポリマー
水、酸又はアルカリに溶解しない場合、水への自己分散性を有する、又は基本骨格部分が陽イオン性を示すポリマー
化学構造等から生態毒性のおそれがあるポリマー

3.低懸念ポリマーの基準


    低懸念ポリマーの基準をまとめると以下のようになります。

    第1. 次の1及び2に該当する高分子化合物
    1.3連鎖以上の分子の合計重量が全体の50%以上、かつ、同一分子量の分子の合計重量が全体の50%未満である。
    2.数平均分子量が1,000以上である。

    第2. 環境の汚染が生じて人の健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがない基準
    ・・次の1又は2に該当する
    1. 次のすべての要件を満たす高分子化合物
    (1)物理化学的安定性試験において、次の安定性の基準に該当する。
    試験前後で1%を超えるDOC変化がない。
    試験前後でIRスペクトルの変化がない。
    試験前後で分子量の変化がない。
    (2)酸・アルカリに対する溶解性試験において、 試験前後で1%を超えるDOC変化がない、又は基本骨格部分が陽イオン性を示さない。
    (3)水及び有機溶媒に対する溶解性試験において、水に対して試験前後で1%を超えるDOC変化がなく、かつ、有機溶媒に対して試験前後で2%を超える重量変化がない。
    (4)化学構造中に、ナトリウム、マグネシウム、カリウム又はカルシウム以外の金属を含まない。
    2.1(1)、(2)及び(4)並びに次の(1)から(3)のすべての要件を満たす高分子化合物
    (1)1(3)に該当せず、分子量1,000未満の成分の含有が1%以下であり、かつ、生体内への高蓄積性を示唆する知見がない。
    (2)化学構造中にヒ素又はセレンを含まない。
    (3)次のア又はイに該当する。
    数平均分子量が10,000以上である。
    アに該当せず、高分子化合物を構成する単量体が既存化学物質等であり、かつ、以下の官能基等を含まない。
    炭素間二重結合、炭素間三重結合、炭素窒素間二重結合、炭素窒素間三重結合、アジリジル基、アミノ基、エポキシ基、スルホン酸基、ヒドラジノ基、フェノール性水酸基、フルオロ基
     
    出典・「新規化学物質のうち、高分子化合物であって、これによる環境の汚染が生じて人の健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生じるおそれがないものに関する基準」(平成三十年三月六日)

    「2.高分子フロースキーム試験および申請の概要」に示したように、低懸念ポリマーの基準を満たしても、通常届出を行うことも可能です。


    2021年7月更新

カテゴリー

環境

分類

化審法(高分子フロースキーム)