07/20/2020
No.0415 ワイドバンドギャップ半導体向けラマン分光測定の高信頼性・定量性向上への取り組み
ラマン分光法は半導体デバイスの応力評価に広く用いられている。信頼のおける正しい応力評価のためには、再現度の高い正確かつ精密な分光測定技術とラマン散乱理論の理解が必須となる。4H-SiCの例を中心に高信頼性・定量性向上への取り組みを紹介する。
ワイドバンドギャップ半導体のラマン散乱と応力評価
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結晶のラマンスペクトルは結晶の格子振動に応答する。
結晶のラマン線のピーク位置は、応力の状態を鋭敏に反映するため、これを用いて応力評価が可能となる。 |
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Fig.1 Polarization dependence of Raman spectra in 4H-SiC |
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ラマン散乱の特徴
・ 結晶の対称性を反映する。対称性が低い結晶ほど、多くのラマン線が観測される。
・ 測定配置、測定面、偏光状態により観測可能な振動モードが異なる。 |
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Siと異なり、対称性の低いワイドギャップ半導体の応力評価を正しく行うためには、ラマン散乱現象を理解した正しい測定配置と各ラマン線の適切な解析が重要である。 |
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ラマン線ピーク位置の信頼性
Fig. 2 Long-term reliability of peak position in E2 band of 4H-SiC |
±0.01 cm-1以内程度(応力換算 約± 3MPa)を維持 |
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温度変化がスペクトルに及ぼす影響
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SiC MOSFET(パッケージ品)の応力の温度依存性評価 |
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Fig. 4 (a) Mapping of E2 peak shift in SiC MOSFET at 23℃ and (b) temperature dependence of s11 and s33 at channel region |
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SiC MOSFETパッケージ品断面について、-40, 23, 150℃にて応力測定を行った。
Fig. 4(a)より、23℃においてソース領域近傍で圧縮応力が大きくなっている様子が観測された。E2およびA1(TO)バンドのシフト量から理論式を用いてチャネル層近傍の水平(s11)、垂直(s33)方向の応力を分離したところ、Fig. 4(b)に示すように水平成分の方が温度依存性が大きいことがわかった。 |
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当社の豊富な測定の実績
・多種の材料
・電子デバイスの知識
・適切な前処理 |
材料 | Si, SiC, GaN, Ga2O3, ZnO, GaAs, セラミックス等 |
構造 | デバイス局所応力(MOSFET, IGBT, HEMT, MMIC, LED)
パッケージ応力(はんだ接合、モールド樹脂、ワイヤボンディング、TSV)、プロセス最適化、不良・故障解析等 |
前処理 | 断面加工、パッケージ開封、膜剥離等 |