close

06/04/2018

No.0351 環境対応車用電池部材の技術動向

環境保全および省エネルギーに関する世界的な意識の高まりを背景に、電気自動車等の環境対応車[1] に対する注目が集まっている。その本格的な普及のために、性能・耐久性・信頼性の飛躍的な向上、並びにコストの大幅低減という、電池に対する革新的なブレークスルーが待望されている[2]

ここでは、環境対応車用の電池のうち、リチウムイオン二次電池に関する特許情報の解析による技術動向調査例を紹介する。


1. 環境対応車で使用されている主な電池

環境対応車で使用されている主な電池 リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、燃料電池、その他

 


2. 電気自動車のリチウムイオン二次電池の技術動向

 調査の目的に応じて、特許解析・論文解析・専門家へのヒアリングなどを組み合わせ、技術・市場動向の把握を行う。ここでは、実用技術に近い情報や課題解決につながる情報が得られる特許解析例を示す。  

2.1 出願年に対する特許件数推移

 

出願年に対する特許件数推移

 


2.2 特許からみた技術開発課題


 2004年以降出願の139件の公開特許について、電池部材および取り組んでいる課題ごとに分類した(複数への分類あり)。

 

 


2.3 技術開発課題に対する取り組み(正極における例)


(1) パワー密度・出入力性能
  ・活物質の選択、開発(eg. オリビン型リン酸鉄リチウム)
  ・正極合剤層の細孔制御 など

(2) 寿命(サイクル特性・保存寿命)
  ・活物質と静電容量を有する粒子との複合化 など

(3) エネルギー密度
  ・電極へのフラーレン誘導体の使用
  ・粒径の異なる活物質の積層 など
 

 


注:

[1] 環境性能(燃費性能または排ガス性能)が一定の要件を満たす自動車。電気自動車(燃料電池自動車)、天然ガス自動車、(プラグイン)ハイブリッド、クリーンディーゼル、低燃費・低排出ガス認定車など 。
[2] NEDO 平成21年度「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」資料より。
[3] ZEV(zero emission vehicle,無公害車)規制・・・米国カリフォルニア州の規制。販売時に一定数のZEV車を含むことを義務付けている。

                                       (2009年実施)
 


カテゴリー

自動車, 電池, 調査

分類

リチウムイオン電池, 電池, 低炭素化社会実現技術