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09/21/2021

No.0487 酸化物蛍光体材料における耐久処理前後の構造および状態評価

耐久劣化処理前後におけるYAG:Ce蛍光体について、XRD、 27Al-NMR、XAFS、ESRを用いて、母相の構造や、Ceの化学状態や配位環境の評価を行った。分析の結果、母相の構造に差は認められなかったが、耐久処理により、Ce3+成分の割合が減少し、YAG構造のYサイトに置換固溶された成分が減少したと考えられた。

YAG:Ce蛍光体

YAG (Yttrium Aluminum Garnet: Y3Al5O12)Ce3+をドープしたYAG:Ce3+蛍光体は、青色光による励起により、黄緑色光を発光 → 白色LED用途の蛍光体として研究、利用
Garnet型構造             試料:YAG:Ce蛍光体粉末(市販品) 2検体
①未処理品
②耐久処理品
(1000℃ O2 20 %、H2O 15 % / N2 bal.)

XRD(結晶構造評価)                     27Al-NMR(Al配位環境評価)    
    
        両試料ともY3Al5O12構造              4配位成分と6配位成分の割合は変化なし
              XRD、 Al-NMRとも顕著な差認められず → 母相構造は変化なし

XANES(Ce L3端XAFS) (Ce状態評価)
 

未処理品ではCe3+が主成分だが
耐久処理により、Ce4+の割合増加
       XANESフィッティング(波形分離)
 
 

ESR(Ce3+割合の比較)
      
  
両試料とも、分散した希薄なCe3+成分を検出耐久処理により、Ce3+成分の割合が減少
Ce3+の信号強度比 ①:②=1 : 0.82

FT-EXAFS(Ce K端XAFS) (Ce配位環境評価)
 
両試料とも、Ce-OおよびCe-YまたはCe-Alを確認

両試料とも、Garnet構造のYサイトへの置換固溶モデル
から得た理論スペクトルと一致
EXAFSカーブフィッティング結果

Ce周囲構造の乱れを示すDW因子:① < ②

耐久処理により、Yサイト置換固溶成分が減少しCe周囲の対称性が低下した可能性が考えられる。

カテゴリー

材料・素材, 半導体・実装

分類

電子・機能性材料