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10/06/2014

No.0186 キャピラリーゾーン電気泳動法による環境試料中のホウ酸・ケイ酸の分析

キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)法は優れた分離能を有し、多成分を迅速に分析できる手法である。イオンクロマトグラフ法(IC)では測定が難しいホウ酸、ケイ酸の分離法を確立し、さらにオンライン濃縮法を用いることにより、ppbレベルの高感度測定が可能となった。

飲料水中のホウ酸、ケイ酸の測定

CZEを用いて飲料水中のホウ酸、ケイ酸の測定を行った。試料注入法には、落差法、電気的注入法(Electrokinetic Injection:EKI)およびIC分取/EKIを用いた。

試料注入方法

落差法(従来法):泳動液を満たしたキャピラリーの片端に試料を、片端に泳動液を浸した状態から、試料側を持ち上げるサイフォンの原理を利用した一般的な試料注入方法。数nLの試料がキャピラリーに注入される。
EKI:泳動液を満たしたキャピラリーの片端に試料を、片端に泳動液を浸した状態で、電圧を印加し、陰(陽)イオンを選択的にキャピラリーに注入する方法。
→濃縮効果により感度が向上するが、共存成分の影響を受けやすい。
IC/EKI:ICから分取した液をEKIで注入する方法を開発。
→試料中の夾雑成分を除いた液をEKI-CZEで測定できるため、より選択性を向上させた測定が可能。

図1 各種試料注入法によるサンプルHのエレクトロフェログラム

図1 各種試料注入法によるサンプルHのエレクトロフェログラム


表1 市販の飲料水中のホウ酸、ケイ酸の定量分析結果

表1 市販の飲料水中のホウ酸、ケイ酸の定量分析結果


EKI-CZEにより、ホウ酸、ケイ酸の高感度分析が可能。(定量下限値 0.01mg/L)

粉末潤滑剤(BN粉末)中のホウ酸の測定

落差法-CZEとEKI-CZEを用い、粉末潤滑剤(チッ化ホウ素粉末)中のホウ酸の定量分析を行った。

図2 各種試料注入法による粉末潤滑剤抽出液のエレクトロフェログラム
EKI-CZEにより、BN粉末中のホウ酸を感度良く測定することが可能である。
ホウ酸(BO33-)をホウ素(B)と区別して測定可能である。
*別途NH4を測定し、抽出で生成するホウ酸を補正した。




環境水中のケイ酸の測定

ケイ素(Si)は生物地球化学的な物質循環に重要な元素の1つであり、岩石の風化により河川へ流出する。  ケイ酸は、河川内に停滞水域(ダム湖など)があるとそこで珪藻類により消費され減少するといわれており、今回、琵琶湖を水源とする大津市と他の地域の環境水中のケイ酸(SiO32-)濃度をCZEで測定して比較した。

表2 環境水中のケイ酸定量分析結果

表2 環境水中のケイ酸定量分析結果

分析機能と原理


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環境