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09/19/2018

No.0361 スピンプローブ法による酸化物が持つラジカル酸化力評価

酸化物粉体の表面には反応性の高いラジカルが生成する場合がある。SiCなど硬い物質の研磨に、TiO2やCeO2を用いたラジカル酸化反応を活用した効率的な研磨剤の開発も行われている[1]。今回紹介するスピンプローブ法を用いれば、酸化物表面のラジカル酸化力(H引き抜き能力)を簡便に評価する事ができる。

[1] K. Yamaguchi et al., Journal of the Japan Society for Abrasive Technology 55, 220-225(2011).
スピンプローブ法


撹拌後ESR測定
(試料表面の酸化力評価
・分析試料
・溶媒(水など)
・スピンプローブ剤
短寿命ラジカルを試薬と反応させて、より安定なラジカルとしてESR法により検出

R・ :酸化力を持つラジカル
SP :スピンプローブ剤
酸化物粉体のラジカル酸化力分析例

酸化物粉体のラジカル酸化力分析例

★試料
   各種粉体(TiO2, CeO2, SiO2, Al2O3)
★測定条件
   溶媒: フタル酸塩緩衝液(pH4.01)
   攪拌方法: 超音波攪拌(5, 15分 at 暗所)

図1. 各種酸化物粉体の表面の酸化力の分析結果

図1. 各種酸化物粉体の表面の酸化力の分析結果

★図1の攪拌15分の値より、SiO2はラジカル酸化力を有していないが、その他の試料では酸化力がある事がわかる。
   ラジカル酸化力: CeO2 >> TiO2 > Al2O3
★TiO2は攪拌しても変化しないが、CeO2とAl2O3は攪拌するほど酸化力が強くなる。
★TiO2はUV光を積極的に照射しない場合、CeO2よりも酸化力が低いと推察される。

カテゴリー

自動車, IT機器, 環境, 材料・素材, ライフサイエンス

分類

排ガス・排ガス触媒, 光触媒・触媒, 高分子材料, 金属・無機材料