09/03/2020
No.0435 AFMを用いた温度可変測定
温度可変のAFM測定技術を導入した。本技術を用いることで、加熱によるモルホロジーや弾性率の変化を調べることができ、高分子材料の分析に有効なツールとなる。
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温度可変のAFM測定技術により、昇温による形態変化のほか、高温下での機械特性分布、高空間分解能を活かした特定微細部の機械特性評価が可能である。試料の融解や熱分解、極度の膨張・収縮といった測定を妨げる事態が起こらなければ、大気中にて室温から250℃まで測定可能である。 |
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ポリエチレンフィルムの昇温過程における表面形態観察
25℃(室温) 60℃ 110℃ |
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110℃では表面凹凸が小さいことが示された。本試料は融点が112℃であり(DSC測定結果より)、110℃では融点に近いため、試料の一部(小さな結晶子や欠陥の多い箇所など)が融解し、表面形態が変化したと推察される。 |
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ポリスチレン(PS)/低密度ポリエチレン(PE)キャスト膜加熱時の弾性率変化
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25℃(室温) 40℃ 80℃ |
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各測定温度におけるPS、低密度PEの弾性率 |
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大気雰囲気下にて室温(25℃)、40℃、80℃で観察を行い、得られたフォースカーブの解析により弾性率像を取得した。また、各測定温度におけるPS、低密度PEの弾性率をプロットした結果を右のグラフに示す。PSは弾性率が3 GPa程度(弾性率像では表示スケールを遥かに超えているため紫色となっている)でほとんど変化していないのに対し、低密度PEは温度上昇に伴い弾性率が小さくなることが示された(報告した低密度PEは枝分かれが多く、一般的な低密度PEより弾性率が一桁低い)。 |
カテゴリー
自動車, 材料・素材, 調査
分類
高分子材料, 有機材料・化成品