close

09/26/2014

No.0091 リチウムイオン電池 正極活物質の構造解析

リチウムイオン電池の正極材料は、充放電特性や安全性の面から金属酸化物を中心に多くの材料が研究されている。ここでは、容量低下したリチウムイオン電池について、正極活物質の構造変化を評価した例を紹介する。

正極活物質の構造解析

容量低下したリチウムイオン電池を充電状態で解体し、正極材料を採取した。未使用品についても同様に採取して、結晶構造の比較を行った。

X線回折による結晶構造評価

LiCoO2では、(003)の回折ピークの低角側へのシフトが観測され、この傾向は、容量低下品においてより顕著である。これは、c軸方向の格子間隔の広がりに由来する変化であり、Li量の減少と相関することが知られている。充電により一方で、Li(Co,Ni,Mn)O2では明確な変化は認められず、構造変化が小さいことが示唆される。

X線回折による結晶構造評価

ラマン分光法によるLiCoO2内部の組成分布

LiCoO2のラマンスペクトルは、結晶構造中に存在するリチウム量に依存したバンド強度変化が知られている。これを利用して、容量劣化品に含まれるLiCoO2粒子内部のLi量の分布評価を行った。容量劣化品では粒子内部での不均一な構造分布(リチウム分布)を取っていることが推定される。

ラマン分光法によるLiCoO2内部の組成分布

分析機能と原理


カテゴリー

電池

分類

リチウムイオン電池