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11/05/2021

No.0523 Beyond 5G/6G 向け材料の誘電特性評価 - テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)-

次世代移動通信システム(5G/6G)用途の材料には、GHzを超える高周波帯において優れた誘電特性が求められる。テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS:Terahertz Time-Domain Spectroscopy)では、数100 GHz~数THzの誘電特性(誘電率、誘電正接)を評価可能であり、その測定例を紹介する。

誘電特性評価法としてのTHz-TDS
THz-TDSは、一般的な誘電特性評価手法の対応周波数を超える高周波帯(数100 GHz~数THz)に対応しており、5G以降の次世代移動通信システム(Beyond 5G/6G)にて利用が期待されている材料への適用が可能である。
 

THz-TDSの原理 (複素屈折率の評価)

THz-TDSは、光電場の時間波形E(t)を直接測定する時間領域分光の一種である。光電場の振幅だけでなく位相の変化も測定可能であるため、K-K(Kramers-Kronig)変換を利用せず、試料の屈折率の実部と虚部(複素屈折率)を直接算出することが可能である。
Siウエハの透過測定例

各種高分子材料の誘電特性評価例

下の関係式を用いて、THz-TDSで得られる複素屈折率から、吸収係数、複素誘電率、誘電正接なども算出可能である。低損失材料として知られるPTFEを含め、構造(極性、フッ素有無)の異なる高分子材料について、比誘電率実部(𝜀1)と誘電正接(tan 𝛿)を評価した例を以下に示す。
   
→ 同じ高分子といっても、極性やフッ素の有無などで誘電特性は容易に変化する。今回評価した材料の中では、極性官能基を有するPCが比較的大きな誘電正接を示し、またフッ素を含む高分子(PCTFE、PTFE)では比誘電率実部が小さい傾向が確認された。

当社では、低周波域からTHz帯の高周波域に至るまで、幅広い周波数領域での誘電特性評価サービスを提供している。各種材料の誘電特性評価は、当社にお任せください。

カテゴリー

材料・素材

分類

高分子材料