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11/14/2017

No.0338 定量NMR

NMRスペクトル上に観測されるシグナルの面積は、試料に含まれる水素原子の数に比例し、物質の化学構造に依存しない。そのため、分析対象成分以外の純度既知の物質を標準物質として使用することにより、分析対象成分の絶対定量が可能である

定量NMR法の原理

NMRはHPLCやGCといったクロマトグラフ法のように多成分を分離できず、検出感度も低い。しかし、NMRのシグナルの面積は、試料に含まれる水素原子数に比例し、物質の化学構造に依存しないという特長を持つ。右に、重水中のエタノールとDMSOの例を図示した。
NMRシグナルの面積は水素原子の数に比例することから、エタノール由来のシグナルについて、メチルプロトン由来のAとメチレンプロトン由来のBのシグナル面積は、以下の関係が成り立つ。
以上のことから、DMSOのジメチルプロトン由来のCとエタノール由来のA及びBシグナルの面積には、以下の関係が成り立つ。
上記の式は、エタノールかDMSOのモル濃度がわかれば、もう一方の成分のモル濃度をNMRシグナルの面積から算出できることを意味する。NMRシグナルの面積は、水素原子の数に比例し、物質の化学構造に依存しないことから、分析対象成分以外の純度既知の物質で絶対定量が可能である。対象成分と同一の標準物質を必要としない点が定量NMRの大きな特徴である。

各定量法の特徴

定量NMR
GCHPLC
夾雑成分に弱い
分離分析のため、夾雑物に強い
感度が低い
感度が高い
有機化合物は、ほぼ全て観測可能
検出器の種類によっては、観測不可
同一成分の標準物質不要
同一成分の標準物質が必要


カテゴリー

ライフサイエンス , 医薬

分類

創薬研究支援