08/19/2015
No.0260 Si負極LIBのサイクル試験前後のSTEMによる構造比較
球面収差(Cs)補正STEM装置により、サイクル試験実施前後のSi微粒子と黒鉛を複合化した電極中のSi活物質粒子について、極微小領域の結晶構造や元素分布、化学状態の解析が可能である。
*試料提供 : 東京理科大 駒場研究室
●高分解能STEMによる結晶構造およびEELS法による状態評価
初期品のSi粒子表面は自然酸化膜(アモルファス)が観測される。
サイクル試験後、Si粒子は変形し、内部はアモルファス化している。Si粒子内部にはコントラストの濃淡が観察され、Si粒子の膨張収縮により、Siの密度に粗密が発生したと考えられる。
●電極内の電解液成分の分布評価(STEM-EDX法)
サイクル試験後の電極内には、バインダーの存在領域から、多量のOや、電解液由来と推察されるFおよび微量のPが検出される。
●Liの分布比較(STEM-EELS法、冷却FIBの効果)
FIB加工時に発生する熱のダメージ低減効果を狙って、冷却FIBの効果について検討を行った。
サイクル試験後の電極において、バインダーからLiが多量に検出される。2 cycleと5 cycleのLiの分布の比較から、顕著な差異は見出されない。電解液由来の成分として、Li酸化物やフッ化物の存在が示唆される。2 cycle品について、冷却FIBの効果を検討した結果、常温FIBにより加工した結果と顕著な差異は見出されない。
Si粒子(スペクトル抽出位置2)からは、Liは検出されないことがわかる。また、Li-K端のスペクトル形状より、バインダー(抽出位置1, 3)には、Li2Oの存在が示唆される。
カテゴリー
電池
分類
リチウムイオン電池