09/25/2014
No.0064 太陽電池用シリコンの結晶構造評価
太陽電池用単結晶シリコンウエハのキャリアのライフタイムが異なる部位について、主にRaman分光法、CL、ESR、SIMSを用いて構造評価を行った事例を紹介します。
Raman分光法
ラマン線のシフト量からウエハ中の応力を評価することができます。Fig.1にラマン線のシフト量から求めた応力をプロットしました。
#1,2で圧縮側の応力が生じていることが分かります。
Fig. 1 Stress distribution calculated from the shift of Raman lines.
CL(カソードルミネッセンス)
ライフタイムの低い#1,2でTO線の強度が低下しています。このことより非発光中心となる欠陥が存在するこが分かります。
また、#1, 2, 5, 6 いずれの場所でも格子間点欠陥(Ci, Oi )が存在することが分かります。
Fig. 2 CL spectra at #1, #2, #5, and #6.
ESR(電子スピン共鳴)
Fig. 3には、#2および#5のESRスペクトルを示しました。 #2においてSi中の常磁性欠陥(g=2.006) が多く観測されておりスピン密度は3.6E+11spins/cm2と計算されました。
Fig. 3 ESR spectra at #2, and #5.
SIMS(二次イオン質量分析)
Table.1 Concentrations of H, C, O and N included in each wafer and detection
limits of these elements.
element | Concentration | Detection limit |
#1 | #5 |
H | <2E16 | <2E16 | 2E16 |
C | 2E+15 | 2E+15 | 2E14 |
O | 1E+18 | 1E+18 | 5E15 |
N | <1E14 | <1E14 | 1E14 |
太陽電池用基板中の大気成分元素(H,C,O,N)の分析には、SIMS(二次イオン質量分析)が有効です。より低濃度の不純物を検出するために、ラスター変換法を用いることにより極微量濃度の不純物を検出することができます。左表に、H,C,O,Nのバルク分析結果を示します。このデータからは、試料間で差は認められませんでした。
CL、ESRより、ライフタイムの短い場所では、Siの欠陥が多いことが示されました。また、この事例では大気成分(H, C, O, N)の差は認められませんでした。
分析機能と原理
カテゴリー
電池
分類
太陽電池