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09/30/2014

No.0127 高分子材料の高温 in situ X線回折測定による評価

高温 in situ X線回折測定では、昇温ステージと二次元検出器とを組み合わせることで、ポリマーの結晶構造や結晶配向に関する情報を逐次温度を変化させながら測定できる。

通常用いられるDSCやTMAなどの熱分析手法と比較して、温度変化や相転移に伴うポリマーの熱的変化を、結晶性や結晶配向、格子面間隔などの変化として、より詳細に解析することが可能になる。

高密度ポリエチレンフィルムの高温 in situ X線回折測定

高密度ポリエチレン(一軸延伸)では、室温から昇温するに伴い、以下の変化が見られる。
格子面毎に結晶性の変化のタイミングが異なる。
格子面毎の格子面間隔の変化に違いがあり、結晶の膨張に異方性がある。
格子面間隔は単調に膨張しているのに対して、結晶配向は、一旦低下した後に再度配向が高くなる。
溶融前に非晶質の散乱が増加している。

図1 高密度ポリエチレン(一軸延伸)の二次元回折像と2θ回折プロファイル

図1 高密度ポリエチレン(一軸延伸)の二次元回折像と2θ回折プロファイル

試料の各値の温度変化

各温度における各値の温度変化を下図に示す。詳細にみると、配向半値幅、格子面間隔が70℃付近で傾向が変化している(図2,オレンジ矢印)。よって、その温度を境に結晶構造の再配列のような現象が起きていることが推察される。

図2-1 ピーク半値幅の温度変化

図2-1 ピーク半値幅の温度変化


図2-2 格子面間隔の温度変化

図2-2 格子面間隔の温度変化


図2-3 配向半値幅の温度変化

図2-3 配向半値幅の温度変化


分析機能と原理


カテゴリー

材料・素材

分類

高分子材料