11/09/2022
No.0625 TPD-MSによる多孔質材の加熱脱水挙動解析
多孔質材の開発において、分子の吸着能や加熱時の脱離挙動を定量化することは必須課題である。
TPD-MSを用いることで、吸湿した多孔質材からの脱水挙動や吸着サイトに関する情報が得られ、速度論的解析から求められる脱水の活性化エネルギーにより水の吸着力を評価できる。[1]
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TPD-MS*とは
*Temperature Programmed Desorption Mass Spectrometry
加熱時に発生したガスを、質量分析計によりリアルタイムに検出することで、発生速度の温度依存性を調べることができる。発生ガスの定量も可能で、対象となる発生ガス種(水分、無機、有機ガス等)毎の発生挙動を抽出できる特長を有する。 |
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ゼオライト(MS-4A, MS-5A)からの脱水挙動
吸湿させたゼオライト2種をHe雰囲気で加熱した結果、脱水に由来する多重ピークが認められた。ゼオライトの種類により脱水温度域が異なる結果となった。 |
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室温、100%RHで7日間吸水 |
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低温域の水分除去処理(MS-5A)
低温域の水分除去を目的として、下図(赤および緑)のように初期昇温(80℃まで)→降温→再昇温(300℃まで)する測定を実施した。
再昇温の結果(緑色)と連続昇温の結果(青点線)を比較すると、高温側のピークは形状が保たれており、水が強く吸着するサイトの存在が示唆される。 |
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脱水の活性化エネルギー解析(MS-5A)
水分子の吸着能の違いをKissinger法により定量化した。脱水ピーク温度(T)の昇温速度(β)依存性から算出される脱水の活性化エネルギー(Ea)を比較することで、高温側ピークは低温側より吸着力が強いサイトに吸着した水分であることがわかる。 |
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[1]Y. Furushima, M. Hata, T. Ohkawa, S. Yoshimoto, K. Kimura, F. Kato, M. Nakada, Chemical Thermodynamics and Thermal Analysis 5 (2022) 100029. |
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カテゴリー
環境, 材料・素材
分類
燃焼生成ガス, 室内空気・大気・作業環境, 加熱発生ガス