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02/17/2021

No.0456 アモルファスIGZO膜の物性・組成・構造解析

In-Ga-Zn-O(IGZO)は、アモルファスシリコンに替わる次世代のTFT用材料として注目されている。その電気特性は成膜条件により変化し、膜の組成や内部構造の変化が影響している。RBSおよびラマン分光法、XAFSを適用することでアモルファスIGZO膜の組成・構造の変化を捉えることができる。

成膜条件

 成膜方法 DCマグネトロンスパッタ法
 ターゲット InGaZnO4
 酸素流量比 O2/(Ar+O2) 0%、1.1%1.5%
 基板 Si,ガラス基板
 膜厚 約 300nm
 アニール なし
12345

膜組成

ラザフォード後方散乱分光法(RBS)では、非破壊かつ標準試料不要で薄膜の組成を定量的に求めることができる。また、核反応分析(NRA)を用いることで、酸素のような軽元素も高感度で測定が可能である。

電気特性

酸素流量比が増加するとキャリア密度は減少する。0%、1.1%ではキャリア密度が概ね1018以上であるため、キャリアが縮退していると考えられる。一方、1.5%ではパーコレーション伝導となっているものと考えられる。ホール移動度は約10cm2/Vs以上であり、酸素流量比が増えるとともに増加し、1.1%付近で極大値をとる。 ※測定は青山学院大学で実施

構造解析

ラマン分光法(全反射条件にて測定)


元素の種類や結晶構造についての情報が得られる。アモルファスにも有効。ピークが高波数側にシフトし、かつピーク幅が狭くなる。
             
アモルファス構造の秩序性が向上
X線微細構造吸収(XAFS)によるIn原子近傍の動径分布関数


特定元素とその周囲にある元素との距離や存在確率に関する情報が得られる。In原子の最近接にあるO原子のピーク高が高くなる。

In原子周辺のO原子配置の規則性が向上

電気特性と組成・構造の相関(酸素流量比に依存した膜質変化と物性との関係)
成膜時の酸素流量比を増加させることで、

成膜時の酸素流量比の違いは膜組成やキャリア電子の供給源となる酸素空孔量に影響を与えるほか、アモルファス構造の秩序性にも影響し、総じて電気特性に変化をもたらしているものと考えられる。
※本件は青山学院大学 重里有三教授との共同研究によるものである。

分析機能と原理


カテゴリー

IT機器, 半導体・実装

分類

電子・機能性材料