close

10/29/2021

No.0517 テープストリッピングによる皮膚角層中への薬剤の浸透評価

薬剤の経皮吸収システムは、肝臓での初回通過効果の回避や、長時間の徐放による安定した血中濃度の維持などの観点から有用である。実際に皮膚内部で薬剤がどの様に浸透しているのかを把握するには、二次イオン質量分析(SIMS)による微小部の質量イメージングが有効である。

テープストリッピングによる角層評価
 一般にテープストリッピングは、角質細胞の大きさや細胞核の有無を調べ、ターンオーバー(皮膚の新陳代謝)の状態評価をすることに用いられている。更に剥離後の角質細胞に対してTOF-SIMS分析を行うことで、薬剤の浸透状態の定性的な評価や、細胞間脂質の分布状態の評価が可能である。

消炎鎮痛剤の角層中への浸透状態の可視化(TOF-SIMS)

・ 成人男性の上腕部内側を洗剤で洗浄した後、消炎鎮痛剤のジクロフェナクナトリウム(0.1 wt%)を複数回塗布した。
    
・ 塗布後15分経過してからテープストリッピングを10回行い、剥離した角質細胞表面をTOF-SIMSでそれぞれ分析した。

       ・ ジクロフェナクナトリウムは剥離7回までは検出されたが、10回では検出下限以下となった。
       ・ 一方、角質細胞間脂質の硫酸コレステロールはジクロフェナクと対照的に深部側で増加する様子が確認された。
「 テープストリッピング + TOF - SIMS 」 を行うことで、各層中の薬剤の浸透状態を可視化可能

カテゴリー

ライフサイエンス , 医薬

分類

医療機器・医療材料, 薬物動態