04/17/2018
No.0345 平成29年化審法改正について
平成29年に化 審 法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)が改正されました。本改正により、化学物質のカテゴリが新設され、また、申請方法による製造・輸入可能数量の取扱いが変わりました。さらに、運用面、各種試験なども一部変更されました。
平成29年化審法改正について(法律)
化 審 法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)の2つの改正点について説明します。
① 新しい区分(特定新規化学物質、特定一般化学質)の導入(平成30年4月施行)
近年、機能性が高い化学物質には、その反応性から著しく毒性が強いものが出現しています。これらの化学物質は環境排出量が少ないものも多いため、優先評価化学物質には該当しない物質があります。 新規化学物質の審査において、新たに著しい毒性が確認されたものについて特定新規化学物質として指定(公示後は特定一般化学物質)されることになります。
特定新規化学物質である旨、3大臣から通知されると、事業者は当該化学物質を譲渡・提供するにあたって、特定新規化学物質(公示後は特定一般化学物質)である旨、情報の伝達に努めることが義務付けられますので、ご注意ください。
② 少量新規化学物質、低生産量新規化学物質確認制度の見直し(平成31年1月施行)
同じ物質を複数の会社が確認を受けようとした場合、予定数量に満たない数量しか確認されず、減らされた分だけビジネスの規模が縮小することが起こり得ます。国内総量規制について、これまでの製造・輸入数量から、環境排出量(製造・輸入数量に用途別の排出係数を乗じた数量)に変更することにより、事業者の予見可能性を高めることが可能になりました。なお、用途情報の重要性が増すことから、用途情報の正確性を担保するため、事業者からの用途情報証明の提出が必要になりました。
平成29年化審法改正について(運用面など)
化審法改正とあわせて、運用面や各種試験なども一部変更されました。高分子化合物に関する運用(90%ルールの新設)、高分子フロースキーム試験の変更点について説明します。
①90%ルールの新設
高分子化合物(※1)については、その重量割合の合計が90%を超える単量体等から得られる別の有機高分子化合物が既存化学物質等(少量新規化学物質を除く)であって、残り10%未満の重量割合を占める単量体等が以下の(ⅰ)~(ⅵ)の全てに該当する場合は新規化学物質として取り扱わないものとされました(数平均分子量が10,000以上であれば(ⅵ)を満たす必要はございません)。
(ⅰ)~(ⅵ)の概要 |
| (ⅰ)各単量体等の含有割合が既存化学物質等の場合、2重量%未満 |
| (ⅱ)第一種特定化学物質、第二種特定化学物質並びにその構造を含まない |
| (ⅲ)ナトリウム、マグネシウム、カリウム又はカルシウム以外の金属を含まない |
| (ⅳ)基本骨格部分に陽イオン性を生じさせない |
| (ⅴ)ヒ素又はセレンを含まない |
| (ⅵ)懸念官能基(※2)を生じさせない |
| | (※1)1種類以上の単量体単位の連鎖により生成する分子の集合から構成され、3連鎖以上の分子の合計重量が全体の50%以上を占め、かつ同一分子量の分子の合計重量が全体の50%未満であり、数平均分子量が1,000以上の化合物 |
| | (※2)炭素間二重結合、炭素間三重結合、炭素窒素間二重結合、炭素窒素間三重結合、アジリジル基、アミノ基、エポキシ基、スルホン酸基、ヒドラジノ基、フェノール性水酸基又はフルオロ基 |
②高分子フロースキーム試験の簡素化
高分子フロースキーム試験の簡易化が図られました。修正の主なポイントは以下の通りです。
・ | 安定性試験のpH1.2及び7.0を削減 |
・ | 安定性試験における重量測定及び溶解性試験における水の重量測定を削減 |
・ | 有機溶媒の溶解性試験におけるオクタノール及びヘプタンの測定を削減 |
法改正前後での試験項目の比較(一覧)
| 改正前 | 改正後 |
安定性試験(試験区) | pH 1.2、pH 4.0、pH7.0、pH9.0 | pH 4.0、pH9.0 |
安定性試験(試験項目) | 重量変化、DOC変化、IR変化、分子量変化 | DOC変化、IR変化、分子量変化(重量変化は補足実験) |
溶解性試験(試験項目) | 水、オクタノール、ヘプタン、THF、DMF | 水、THF、DMF |
2021年7月更新
カテゴリー
環境
分類
化審法(高分子フロースキーム)