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10/16/2014

No.0218 高感度ESR装置を用いた欠陥および金属イオンの状態分析

ESR法は様々な物質中の不対電子を直接的に検出できる手法である。新規に導入した「高感度CW/パルスESR装置」によって検出下限が従来型装置より1桁程度向上したため、より高感度な薄膜中の欠陥評価や、新たに不対電子まわりの核環境や金属の価数の評価も可能となっている。

新規ESR装置

「不対電子の検出下限」が、当社保有の従来型ESR装置と比べて 1桁程度向上し、より微量の不対電子が検出可能 従来までのCW(Continuous Wave)法に加えて、パルスマイクロ波を用いた測定も可能

測定法
得られる情報
適用材料・対象
CW法
不対電子の状態、量、反応素材全般(半導体、触媒、電池など)
パルス法
T1、T2不対電子の局所濃度、運動性有機物、ポリマー、欠陥
ESEEM不対電子周りの核環境、核種石炭、ポリマー、金属錯体
Nutationスピン量子数、価数酸化物、セラミック中の欠陥、遷移金属
ESEEM = Electron Spin Echo Envelope Modulation

新規ESR装置


ESR装置のイメージ

CW-ESR法



パルスESR法



CW-ESR法とパルスESR法の違い

CW-ESRで線幅に埋もれて確認できない「スピンパケットに関する情報」は、パルスESRで得る事ができる。
スピンパケットに関する情報から、「不対電子まわりの核環境」や「金属の価数」が評価できる。

CW-ESR法

CW-ESR法

パルスESR法

パルスESR法

Si薄膜中の欠陥評価

新規導入装置では、当社の従来装置に比べて高感度の測定が可能である。本測定条件では約6倍の感度向上が認められる。

CW-ESR

CW-ESR

太陽電池用樹脂(EVA)  劣化品の評価

CW-ESR測定により、HALS(光安定剤)の酸化によるNOラジカルの生成が認められる。ESEEM測定により、 CW-ESR測定では観測できないNOラジカル周囲の水素を観測することができる。

CW-ESR

パルスESR(ESEEM)


MgO中の金属不純物評価

Nutation測定により、各ESRシグナル(右図)についてスピン量子数を直接決定して、遷移金属不純物の価数(Mn2+,V2+,Cr3+等)を評価することができる。

パルスESR(Nutation)

パルスESR(Nutation)

分析機能と原理



カテゴリー

材料・素材, 半導体・実装

分類

高分子材料, LSI・IC・メモリ