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11/12/2021

No.0534 DPC STEM法を用いたポリマー材料の静電ポテンシャルイメージング

微分位相コントラスト(DPC) STEM法で得られる電場分布を静電ポテンシャルに変換することにより、日本で初めて異種ポリマー間のコントラストを強調でき、電子染色による前処理無しに相分離構造を可視化する技術を開発した。様々なポリマー材料に本手法を適用した事例を紹介する[1, 2]。

静電ポテンシャルイメージングの原理ナイロン/エラストマーアロイの観察結果
ナイロン(海相)とエラストマー(島相)が相分離構造を形成した
ポリマーアロイ

 
DPC STEMで得られる電場分布を積分することで静電ポテンシャル分布に
変換
      僅かなポリマー成分差を高感度に検出可能
  HAADF-STEM像         静電ポテンシャル像


HAADF-STEM像では観察されないエラストマー島相内部に存在する数十nmの微小ナイロン相を可視化

ABS樹脂の観察結果有機薄膜太陽電池(OPV)発電層の観察結果
ABS樹脂・・・アクリロニトリルスチレン(AS)とブタジエンゴム(B)
       が相分離構造を形成したポリマーアロイ
 
    HAADF-STEM像        静電ポテンシャル像

 HAADF-STEM像では観察されないブタジエンゴム(B)相を可視化
OPV発電層・・・相分離したドナーとアクセプターから形成
        本試料はドナーにP3HT、アクセプターにPCBMを使用
 
     BF-STEM像         静電ポテンシャル像

  BF-STEM像では観察されないドナー(黒)とアクセプター(白)
  の相分離構造を可視化
                     
 参考文献 [1] Shin Inamoto, Satoru Shimomura, Yuji Otsuka, Microscopy 69, 304 (2020).
[2] 稲元 伸, 吉田 晃世, 増田 昭博, 大塚祐二, 日本電子news 52, 2 (2020).    

カテゴリー

自動車, 電池, IT機器, 材料・素材, 半導体・実装, ライフサイエンス

分類

太陽電池, 高分子材料, 有機材料・化成品, 電子・機能性材料, ナノ材料