10/25/2021
No.0512 電解質膜のドライフェントン試験 ― 湿度の調節による膜の加速劣化 ―
ドライフェントン試験1) (過酸化水素蒸気曝露試験)は燃料電池の運転状態を模擬した加速劣化試験であり、温度・湿度、過酸化水素蒸気発生量など各パラメーターを変化させて試料を劣化させることができる。特に湿度は電解質膜の劣化速度への寄与が大きく、湿度の調節により劣化の加速倍率を変化させることができる。
1) 本村了, 川原健吾, 下平哲司, Polymer Preprints, Japan, 54, 2 (2005).
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ドライフェントン試験 |
◆ ドライフェントン試験 模式図
| ◆ 試験条件の設定範囲
・ 過酸化水素蒸気の発生温度
・ 試料温度, 各経路の流量・・・などの設定により
湿度を調節したドライフェントン試験が可能 |
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電解質膜の劣化における湿度の影響
● 試料:フッ素系電解質膜 Nafion🄬NRE-212
● 劣化の指標:化学構造、物性変化のパラメーター → フッ化物イオン発生量 (IC)、分子量分布・数平均分子量Mn (GPC)、EW* (固体F-NMR) |
フッ化物イオン発生量の湿度依存性
「 F-発生量 」 と湿度は概ね直線関係
→ 加速倍率の異なる劣化試験が可能 | 構造変化の評価 - 分子量とEW -
試験後の電解質膜の 「分子量」 や 「EW変化」 を指標として劣化状態を評価可能 |
* EW (equivalent weight) : 1モルのプロトンを交換するのに必要なポリマー質量 |
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ドライフェントン試験の加速倍率評価(負荷応答試験との比較)
電解質膜の数平均分子量(Mn)低下度の比較 |
湿度調節により膜の初期~長期劣化を模擬した試験が可能 |
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ドライフェントン試験前後の電解質膜の化学構造変化を分析することで、劣化挙動を解析することが可能
カテゴリー
自動車, 電池, 材料・素材
分類
燃料電池, 高分子材料