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11/08/2021

No.0527 ラマン分光法によるGaN HEMTパッケージ品のマクロからミクロに至る応力評価

半導体デバイスパッケージ品においてはデバイス局所応力から実装工程による応力など様々な残留応力が生じており、信頼性の観点からも応力の適切な管理は重要である。ここではGaN HEMTパッケージ品について広範囲から局所領域までの応力評価を行った事例について紹介する。

当社における応力マッピング測定
◆ 応力測定ではラマン線の微小なピークシフトを議論するため、高波数分解能が必要
◆ 一般的なイメージングラマン装置は高解像度のマッピング像を得られるが、波数分解能は低い
【 広範囲応力マッピング装置の特徴 】
・ 2 cm角程度の比較的広範囲マッピングも可能 ただし、範囲が広いほど測定点の間隔は粗くなる
・ 信号強度によって最大10000点程度の測定も可能
・ 波数精度±0.05 cm-1以下程度(応力換算で± 15 MPa以下程度
・ Si, SiC, GaN, Ga2O3, InP, GaAs, AlNなど単結晶の半導体材料に適用可能
当社では、豊富な評価経験に基づいて測定から解析まで条件を最適化することで、高精度かつ高解像度の応力マッピングデータをご提供可能
マッピング装置の繰り返し測定再現性 同一の4H-SiCウエハのE2ラマン線について日を変えて測定

      測定日が異なっても0.05 cm-1以内(15 MPa以内)で再現

応力分布評価事例

試料:GaN HEMT ディスクリートパッケージ(市販品)
       E2ラマン線のピークシフト量から応力を算出
  
            デバイスの断面を作製して測定
 GaN HEMTチップ全面の応力分布(基板のラマン線より算出)

はんだ接合側は圧縮応力、表面側(SiC基板)は引張応力が生じている
⇒ はんだリフロー後にチップとはんだの線膨張係数差により裏面側に圧縮応力が発生したと推定
GaN層は圧縮、SiC基板には引張応力が生じている
⇒ ヘテロエピ成長による線膨張係数差に起因と推定
各電極下にてGaN層の圧縮応力が大きくなっている
⇒ 電極形成による圧縮応力が生じていると推定

実デバイスに生じる応力分布をチップ全体~局所領域まで高精度に可視化可能

作製後のデバイスの応力分布確認、シミュレーション結果の検証などに活用可能


カテゴリー

半導体・実装

分類

パワーデバイス・ディスクリートデバイス