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10/03/2014

No.0177 各種先端材料の燃焼生成ガス分析

材料開発に際し、燃焼時の有害物質・環境汚染物質の発生の有無や、火災安全性評価の目的で、燃焼試験が実施される。JIS K 7217「プラスチック燃焼ガスの分析方法」は、この目的でプラスチックを対象に定められた燃焼条件の規格であるが、特殊な先端材料を評価する際には、この規格どおりでなく、焼却処分や火災発生時を想定して、温度や支燃ガスを流量変更するなど、幅広い燃焼条件への対応が必要となる。また、CO、CO2から、酸性ガス、シアン、有機化合物まで、様々な対象成分に最適の測定手法選択も重要である。

ここでは、最近注目されているイオン液体を例に、燃焼生成ガス分析の結果を紹介する。


燃焼試験装置

燃焼試験装置


温度~950℃まで対応
支燃ガス空気(空気以外の雰囲気下も対応可)
ガス流量0.5L/min~
採取方法テドラーバッグ、吸収液 (測定物質により選択)
測定例低沸点有機化合物の定性:GC-MS
低沸点有機化合物の定量:GC-MS
COおよびCO2の定量:GC-FID(メタン化)
フッ化物イオン:IC
シアン化水素:吸光光度法



イオン液体の燃焼生成ガス分析

イオン液体は、1990年代に発見された、常温で液体でかつ安定した塩を指す。食塩のような無機塩と異なり、有機系の特殊なカチオンとアニオンの組み合わせで形成されており、高イオン伝導性、難燃性、不揮発性、高極性、などの性質から、電池関連材料、特殊反応媒体などへの応用展開が期待されている。

イオン液体の例として下記構造のイミダゾリウム系イオン液体(BF4塩)の燃焼生成ガス分析結果を示す。


テスト試料:イオン性液体
1-Ethyl-3-methylimidazolium salts
X-BF4、Br、PF6、(CF3SO2)2N など
燃焼温度:750℃
支燃ガス流量:1.0L/min(空気)


バッグ捕集ガスのGC/MS分析から、C1~C4程度の低分子を定性可能である。

図1 バッグ捕集ガスのGC/MS分析

図1 バッグ捕集ガスのGC/MS分析


BF4由来のフッ酸は、インピンジャーを用いた液体捕集-イオンクロマト分析でF-として測定される。

図2 捕集液体のイオンクロマトグラム

図2 捕集液体のイオンクロマトグラム


CO、CO2の生成比率から、燃焼状態の確認が可能となる。
(COが多い=不完全燃焼状態、COが少ない=完全燃焼状態)
 

図3 バッグ捕集ガスのガスクロマトグラム(メタナイザーFID)

図3 バッグ捕集ガスのガスクロマトグラム(メタナイザーFID)

分析機能と原理


カテゴリー

環境

分類

燃焼生成ガス