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09/30/2014

No.0128 NMRを用いたダイヤモンド状炭素(DLC)薄膜の構造解析

ダイヤモンド状炭素(Diamondlike amorphous Carbon, DLC)は、ダイヤモンドに近い硬度、熱伝導率、絶縁性を有することから、種々の分野で大きな関心を集めている。 DLC の物理的性質は成膜条件に大きく依存するため、作成条件と DLC の内部構造との関係は非常に興味深い。 ここでは、プラズマCVD法により成膜されたDCL薄膜を固体核磁気共鳴法(NMR)を用いて構造解析を行った結果を紹介する。

固体NMR法では、カーボンの化学状態について定量的な情報を得ることが出来る。DLC の 固体 13C NMR スペクトルには、sp2炭素由来のピークが 136 ppm 付近に、sp3炭素由来のピークが 55 ppm 付近に観測される。

図1 DLC の固体 13C DD/MAS 定量スペクトル
(a)成膜温度:50℃ ,(b)成膜温度:150℃

図1 DLC の固体 13C DD/MAS 定量スペクトル (a)成膜温度:50℃ ,(b)成膜温度:150℃

成膜電力の増大に伴って sp3炭素は 34% から 20% に減少していることが分かった(図2,3)。これに伴い、ピークのシフトが認められる(図2)。sp2ピークの高磁場シフトは、構造の一部がよりグラファイトに近い構造をとることによると考えられる(図3)。sp3ピークのシフトについては、62 ppm 付近に観測される四級炭素の増減を反映している可能性がある(図4)。

図2 sp<sup>2</sup>, sp<sup>3</sup> 定量結果

図2 sp2, sp3 定量結果

図3 sp<sup>2</sup> の化学シフト値

図3 sp2 の化学シフト値

図4 sp<sup>3</sup> 四級炭素/sp<sup>3</sup> 全炭素

図4 sp3 四級炭素/sp3 全炭素

分析機能と原理


カテゴリー

材料・素材

分類

金属・無機材料