12/13/2021
No.0554 エンジンオイルの劣化解析 ー添加剤由来の金属・イオン分析ー
エンジンオイルには、酸化防止剤や清浄剤など様々な成分が添加されている。これらの多くは金属を含む有機物であり、オイルの経年使用により金属の溶出や有機物の分解が進行する。ここでは、イオンクロマトグラフィー(IC)やICP発光分光分析法(ICP-OES)により、使用前後のオイル中のイオン成分と金属の分析を行った事例を示す。
ICP-OESによる金属分析
開放系湿式分解法(a, b)、硫酸灰化-アルカリ溶融法(c)、マイクロ波酸分解法(d)により溶液化し、ICP-OESにより金属元素を定量 |
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表 ICP-OESによる金属定量分析結果および由来となる添加剤とその用途
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エンジンオイルの使用により以下の変化が推定された
a) 添加剤由来の金属の含有量はほぼ不変
b) エンジン部品など金属材料からのCu, Feの溶出
c) 砂や塵埃によるSi汚染
d) ほう酸塩の熱分解による揮散
・ 目的元素に応じた前処理(溶液化)とICP-OES測定により、エンジンオイル中の金属を定量下限1 µg/g程度で分析可能
・ ICでは遊離金属イオン、ICP-OESでは各金属の全量を評価 |
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カテゴリー
自動車, 材料・素材
分類
高分子材料, 有機材料・化成品