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10/01/2014

No.0147 LC/MS/MSによる化粧品中微量規制物質の分析

化粧品は、原材料そのものや製造過程・保存中に有害成分が含有しないように厳しく規制されている。しかし、化粧品には多数の有機化合物が配合されており、製品中に微量有害成分が存在しないことを検証することは難しい。
ここでは微量有害成分の分析法として、混合物中の極微量成分の定量に威力を発揮する"LC/MS/MS法"の適用例を紹介する。

紫外線吸収剤の分析

紫外線吸収剤の一つ[2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール」は、化審法第一種特定化学物質であり、その含有が規制されている。当該化合物について、 “LC/MS/MS法”による高感度分析を実施した。

市販化粧品に規制物質を添加(試料中1ppb)

市販化粧品に規制物質を添加(試料中1ppb)

“LC/MS/MS法”は、測定対象を選択的かつ高感度で検出できるため、化粧品中に配合されている多数の有機化合物の影響を受けずに、ppbオーダーの微量分析が可能である。

紫外線吸収剤の一斉分(標準溶液 10ppb each )

紫外線吸収剤の一斉分(標準溶液 10ppb each )

ベンゾフェノン系; a1~a6
ベンゾトリアゾール系; b1~b6
その他; c1~c3

有機材料に配合されている紫外線吸収剤(規制物質以外も含む)には、“ベンゾフェノン系”や“ベンゾトリアゾール系”、その他にも多様な化合物が存在する。
選択性の高いLC/MS/MS法を用いることで、複数成分の一斉分析が高感度かつ短時間で実施可能である。

標準品から構築したデータベースと比較することで、微量添加物質についても定性分析が可能。


NDELAの微量定量

“N-ニトロソジエタノールアミン(NDELA) “は、化粧品への含有が懸念される発ガン性物質である。 LC/MS/MSによる公定法も提案されているが、大量の有機化合物がNDELAの検出を妨害するケースがある。そこで、当社で新たに条件を設定して、市販化粧品に微量のNDELAを添加した試料を分析した。

試料中NDELA(50ppb相当)のMS/MSクロマトグラム

試料中NDELA(50ppb相当)のMS/MSクロマトグラム


前処理方法および測定条件を検討することで、他の夾雑有機化合物の影響を受けずに微量定量が可能に。 [規制値(試料中50ppb)の1/10程度まで有無の判断が可能]

分析機能と原理


カテゴリー

環境

分類

環境規制物質