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10/18/2021

No.0510 O-PTIRとラマン分光測定を併用した微小部組成分析

光熱変換赤外分光装置(O-PTIR)により、非接触、かつ、サブミクロンの空間分解能で赤外スペクトル測定が可能となった。さらに、併設したラマン分光器を活用することで、プローブ光(532 nm)を利用したラマンスペクトルの取得が可能であり、2手法を組み合わせて情報取得することで、定性分析能力が飛躍的に向上した。

自動車塗膜の組成分布解析
  塗膜断面の光学顕微鏡写真

 
 
● 自動車用塗膜には、傷つき防止、色調や光沢の付与など多くの機能が必要であり、
  多層の積層構造を有している。
● O-PTIRとラマン分析の同時測定の強み
  ‒ O-PTIRでは、樹脂・フィラー成分の定性と、その構造変化の解析が可能
  ‒ ラマン分析では、着色成分の検出と定性が可能。さらに、着色原因調査にも有効

   O-PTIRスペクトル          Ramanスペクトル
 
 (*:プライマー層のClについては、別途SEM-EDXにて確認)

自動車塗膜の紫外線劣化解析

加速劣化試験(UV-オゾン処理)に伴い、塗膜に外観変化(変色)が生じた試料について、O-PTIRによるクリア層樹脂の化学構造変化と、蛍光イメージング(ラマン分光器を活用した発光分析)の関連を評価した。
                               2時間照射試料の組成変化、及び、蛍光分布
  
● 高空間分解能での赤外分析とラマン分光器の活用により、光劣化領域を可視化
   ‒ O-PTIRにおいて、表面から3~4 µm程度でポリマーの構造変化(酸化成分の生成)
   ‒ ポリマーの構造変化に対応する領域で、試料からの発光を観測(青~緑色光を吸収し、発光)
→ 試料の黄変は、UV-オゾン処理によるポリマーの構造変化(カルボニルや二重結合)と相関していると推定


カテゴリー

自動車

分類

複合材料