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01/24/2022

No.0574 熱硬化性樹脂中の微量過酸化物定性分析

フレキシブルプリント基板用接着シート等に使用されるラジカル重合系熱硬化性樹脂には、開始剤として有機過酸化物がわずかに含有されている。過酸化物は熱に不安定且つ微量な為、GC/MSや試料全体の1H NMRでは特定困難であるが、溶媒抽出による濃縮とLC/ESIMSのソフトなイオン化により構造を壊すことなく定性が可能となった。ここでは標品やモデル試料の分析事例を紹介する。

P02228.pdf
過酸化物標品のESIMS分析
高分解能ESIMS測定で分子量関連イオンを検出、精密質量から分子式を推定、MS/MS測定で部分構造を推定することで過酸化物の構造確認ができた。

    図1 ジクミルパーオキサイドのESIMS測定結果     図2 2,5-ジメチル-2,5-ジ(-ブチルパーオキシ)ヘキサンのESIMS測定結果
 

熱硬化性樹脂中微量過酸化物の分析

熱硬化性樹脂中の微量過酸化物を溶媒抽出によって濃縮した後、高分解能LC/ESIMS分析を行うことで、過酸化物の検出が確認できた。

表1 熱硬化性樹脂モデル試料配合比
モデル試料配合化合物名
配合比(mass%)
(スチレン/メチルメタクリレート)ポリマー
18.2
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
15.1
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート
20.2
ペンタエリスリトールテトラアクリレート
5.0
2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン〔過酸化物〕
0.1
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
1.0
シリカ
40.4

        図3 熱硬化性樹脂の溶媒抽出フロー            図4 モデル試料-メタノール可溶物のLC/MS測定結果

カテゴリー

IT機器, 材料・素材, ライフサイエンス

分類

高分子材料, 有機材料・化成品