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03/04/2021

No.0466 TG-MSによる熱分解反応の速度論解析

TG測定で得られる熱分解反応の活性化エネルギー(ΔE)や頻度因子(A)は、昇温速度に依存せず、寿命予測の推算に用いる事が出来る物理量である。ここでは、TG-MS測定によりこれらの値を算出し、熱分解反応時間の推算を行った事例を紹介する。

 
 
試料:ポリプロピレン(PP)  ※低分子量PPを使用
温度範囲:室温~600℃
昇温速度:2, 5, 7, 10℃/min
雰囲気:He, 2.5% O2/He, 21% O2/N2, O2

ΔE及びAの算出

     図 He雰囲気におけるTG測定結果          図 He雰囲気、 a=0.5におけるlog βv.s. 1/T プロット
              
  異なる昇温速度β の結果を用いてlogβ と1/Tをプロットすると、その傾きからΔEが求まる
  更に適切なf(a)を選択する事で、Aが算出される。
                          表 各雰囲気におけるΔE及びA
 

雰囲気による発生成分の相違


  He雰囲気では主鎖の熱分解が主反応であるが、Air雰囲気では酸化によるCO2の生成が主反応である。

熱分解時間推算

上段の測定結果から得られた換算時間(θ)を用いて、任意の条件における反応時間を推算する事が出来る。
任意の温度に保持した際、a=0.5に到達する時間(反応時間)を推算すると・・・

図 a=0.5に到達する反応時間の推算結果(PP)

 
 ● 酸素が共存すると、劇的に反応時間が減少する。
 ● 酸素濃度の増加に伴って、反応時間が減少する。

 
θ は「温度を無限大とした際に、任意の重量減量率に到達するのに要する時間」として定義される、測定条件に依存しない物理量である。

カテゴリー

自動車, IT機器, 環境, 材料・素材, 半導体・実装, ライフサイエンス

分類

燃焼生成ガス, 高分子材料, 加熱発生ガス, 電子・機能性材料, 複合材料