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09/01/2020

No.0433 減圧下でのオンライン加熱発生ガス分析

各種材料において、大気圧と減圧環境下では吸着成分の脱離挙動、化合物の分解温度が異なる場合がある。従来のTPD-MS(昇温脱離-質量分析)では大気圧下での加熱発生ガス挙動を分析するが、当社の独自技術により、減圧を伴う製造プロセスや使用環境など実条件に合わせたTPD-MS測定が可能となった。

TPD-MS*について          
                            * Temperature Programmed Desorption-Mass Spectrometry
加熱時の発生ガスを質量分析計によりリアルタイムで検出する。
発生ガスの定性・定量に加えて発生速度の温度依存性も把握できる。
◎大きい試料も対応(~10×10×20mm) ◎無機、有機ガスも同時検出可
 通常、チャンバー内は大気圧(ヘリウムフロー)であるが減圧(約0.01MPa)下での測定が可能となった。

シュウ酸カルシウム・水和物の測定例

試料重量:1~3mg  加熱条件:室温800℃
        H2Oの発生速度曲線        COの発生速度曲線
  3段階で熱分解

  ①:CaC2O4・H2O → CaC2O4 + H2O↑(12wt%)
  ②:CaC2O4 → CaCO3 + CO↑(19wt%)
  ②:CO + O2 → CO2
  ③:CaCO3 → CaO + CO2(30wt%)

  ※括弧内は発生量(試料に対する重量%)の理論値
        CO2の発生速度曲線

 各段階での発生量(試料に対するwt%)
・圧力の違いによる発生量の差異は認められない。
・熱分解によるCO、CO2の発生開始温度は減圧下の方が大気圧下よりも低い。
※ 標準物質の検量線から算出、COはCO2の検量線を使用

減圧成型加工用ブチルゴムシーラントの測定例

試料重量:約100mg 加熱条件:室温120℃(30min hold)
             発生速度曲線
  発生量の概算値(試料に対するwtppm)
・発生水分の収束は減圧下の方が早い。
・有機系気体は減圧下では脱離しやすく、本測定時間範囲内での発生量も多い。
・別途実施のパージアンドトラップGC/MS測定により有機系気体は主に炭素数16~32の脂肪族炭化水素群(残存成分)であることが分かった。

分析機能と原理


カテゴリー

材料・素材

分類

加熱発生ガス